WonderWitch用の通信ケーブルの自作

WonderWitch用の通信ケーブル(スワンケーブル)を自作してみました。

このケーブルを使うと、WonderWitchで作ったプログラムをワンダースワンに転送することができます

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自作したケーブル

なぜ、自作するのかというと、純正の通信ケーブルがすでに使えなくなってしまったためです。

 

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純正のケーブル

通信ケーブルは接続に「シリアルポート(RS-232)」を採用していました。RS-232は発売当時(2000年)の時点で「ちょっとレガシー」だったと思うのですが、2021年だともう「完全にレガシー」です。

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USB - シリアルポート変換アダプタ

つい最近までは、こうしたUSBのシリアルポート変換アダプタを使っていたのですが、残念ながら、この製品はもうWindows10には対応していません。レガシーデバイス向けの周辺機器すらレガシー化しています。

今、通信ケーブルを作る必要が出てきたわけです。

 

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回路図

回路図です。動作無保証です。

ワンダースワンは3.3Vで動作します。そこで、USBの5Vをダイオードで3Vくらいに落として、ロジックICを動かしています。

USBシリアルの変換モジュールは秋月のFT232RQを使いました。FT232RQは信号の電圧を3V/5Vの二種類から選択可能です。この回路では、5Vで送信してしまった場合を想定して、(R1)抵抗を付けてます。3.3Vで送信した場合は、抵抗は不要です。

ワンダースワンの通信仕様はUARTとほぼ同じなのですが、信号の論理が逆になっています。受信&送信ともに無通信状態はLowです(UARTは逆にHigh)。そのため、論理を反転させるために、NANDのロジックIC「74HC00」を使います。秋月で30円くらいで売ってます。

 

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ワンダースワン用の通信コネクタ

ワンダースワン用の通信コネクタです。

自分の場合は通信対戦用のケーブルをニッパで分解しました。今だと、入手が難しいかもしれません。

 

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ピンアサイ

コネクタのピンアサインです。

カードエッジになっていて、裏表で4ピン+4ピン=8ピンあります。裏側の方を使います。

 

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通信モード

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TransMagic

動作中はこんな感じです。

WonderWitch側は「通信」モードを選択します。 

通信ケーブルをPCのUSBポートに接続すると、COMポートとして認識されます。デバイスマネージャでCOMポート番号を確認しておきます。

TransMagicを起動して、「シリアルポート設定」を行います。ボーレートはデフォルトでは38400bpsです。あとはファイルを転送するだけです。

純正の通信ケーブルはICの電源をワンダースワンから供給していたので、通信を行うたびにバッテリ残量が激減するという欠点がありました。

一方、自作した通信ケーブルはPCから給電するので、安心して通信することができます。

 

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WWGP2001版ジャッジメントシルバーソード

2001年のコンテストでグランプリを受賞したバージョンの「ジャッジメントシルバーソード」。単体のカートリッジとして商品化されたのが2004年です。本作はワンダースワンの最高傑作だと思いますが、ファミ通2004年2月20日号のクロスレビューは7777。

 

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WWGP2002版のDicingKnight

2002年のコンテストでグランプリを受賞したバージョンの「DicingKnight」。今でもコンテストページから入手可能です。配布しているファイルだけだと、実行して即終了してしまいます。「sound102.il」「bmpsaver.il」もカートリッジに転送してから実行しましょう。

WonderWitchを久々に触ってみた

「WonderWitch(ワンダーウィッチ)」を久々に触ってみました。WonderWitchは発売から20年以上が経過していて、現在はそのままでは動作しませんが、少しの工夫で動くようになります。 

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おそらく最古のワンダーウィッチのチラシ

「WonderWitch」は2000年に発売したバンダイ公式のワンダースワン用の開発キットです。ゲーム機用の開発キットといえば、だいたいは高額で企業向けなものですが、WonderWitchの場合は低価格で一般用として販売されたことが特徴です。当時としては画期的な試みでした。

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WonderWitchの箱の中身

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WonderWitch専用カートリッジ

専用カートリッジはSRAMやRTCを内蔵していたり、システム(FreyaOS/BIOS)の更新機能があったり、恵梨沙フォントが搭載されていたりと、高度な技術を有していました。企画と開発はQute。発売当時の価格は17,640円(税込)。この他にコンパイラを取り除いて価格を抑えたWonderWitchプレーヤーや専用カートリッジ単体が販売されました。

 

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WonderWitchのタイトル画面

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DicingKnightが14万円(駿河屋より)

ちなみにWonderWitchのコンテストでグランプリを受賞した「ジャッジメントシルバーソード」や「DicingKnight(だんしんぐないと)」は、のちに商品化されて、現在はプレミアソフトとなっています。

 

話を戻します。

WonderWitchでプログラムを作る流れは次の通りです。

ソースファイル(c)

 ↓lcc86でコンパイル

オブジェクトファイル(obj)

 ↓mkfentでバイナリ化

バイナリファイル(fx)

 

この一連の処理(ビルド)はkmmake(make)というツールで行います。ビルドの手順はmakefileに記述します。

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DOS系プログラムが動かない

WonderWitchのコンパイラは現在のWindowsでは動きません。原因はコンパイラなどがDOSプログラムであるためです。しばらく使っていなかったので、Windowsのどのバージョンで動かなくなったのか理解していません。

たとえば、kmmakeを実行しようとすると、「このアプリはお使いのPCでは実行できません」「~は内部コマンドまたは外部コマンド、操作可能なプログラムまたはバッチファイルとして認識されていません。」というエラーメッセージが表示されてしまいます。

デフォルトでは開発キットは「C:¥WWitch」に存在します。自分の場合、Cドライブの直下には置きたくないので、Gドライブにして、フォルダ名を「G:¥ww¥~」に変更しました。これは好みに応じて直しましょう。

対策したのは以下の4点。

 

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MSDOS Player(msdos.exe)を置く

(対策その1)

MSDOS Player」を使ってDOSプログラムを動かします。MSDOS PlayerはフリーソフトDOSプログラムのエミュレータです。

MS-DOS Player for Win32-x64 謎WIPページ

 MSDOS Playermsdos.exe」を開発キットの存在する階層に置きます

 

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PATHを修正

(対策その2)

「lcc86ww¥bin16」フォルダにある「_lcc86ww」をテキストエディタで開いて、「C:¥WWitch」の5か所のパスを修正します。

「C:¥WWitch」の場所を変えていない場合、修正は不要です。

 

(対策その3)

「lcc86ww¥bin16」フォルダにある「mkfent16.exe」のファイル名を変更します。

「mkfent16.exe」 → 「mkfent.exe」

 

この逆の方法として、テキストエディタで「sample¥makefile.inc」の中身を書き換えてもいいです(「mkfent」→「mkfent16」に変更)。

 

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ビルド用バッチファイル

(対策その4)

最後にビルド用のバッチファイル「_build.bat」を作ります。

ここでは例としてサンプルの「sample¥hello」をビルドします。

「hello.c」はHello Worldを表示するだけのシンプルなプログラムです。

 

「_build.bat」の中身は以下の通りです。 

set MSDOS_PATH=G:¥ww¥lsic86ww¥bin16;G:¥ww¥bin16;
Set TZ = JST - 9
..¥..¥msdos.exe kmmake.exe
pause

 

kmmakeを実行するための命令を記述しています。

パスは「MSDOS_PATH」という環境変数で指定するようです。 

MSDOS Playerは16bit版のDOSプログラムしか実行できない?ので、パスは「bin」ではなく「bin16」を指定します。

 

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ビルドに成功

(ビルド) 

「_build.bat」を実行して、ビルドします。

kmmakeが呼び出され、makefileが参照されて、lcc86やmkfentが実行されます。

最終的にバイナリファイルの「hello.fx」が 出力されたら成功です。

 

 (実行)

あとは専用の通信ケーブルを使ってPCとワンダースワンと接続して、

通信ソフトの「TransMagic」を立ち上げます。TransMagic.exeはbinフォルダにあります。

「hello.fx」を専用カートリッジに転送すれば、ワンダースワンで実行することができます

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MiracleMageで「hello.fx」を実行

こちらは「MiracleMage」というWonderWitchエミュレータで実行した例です(Tomoyuki 'ZRY' Nakanoさん作)。WonderWitchの挙動をエミュレーションしています。

 

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カートリッジの電池が切れている場合

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カートリッジの電池交換

あと、実機で動かす場合ですが、カートリッジの電池が切れていると正常に起動しません。トルクスドライバーでカートリッジのガワを開けて、リチウムコイン電池を交換します。CR1616が使われています。極性を間違えないようにしましょう。CR1616はヨドバシで200円で売ってます。

 

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hello.fxの実行結果

補足的な情報

nicotakuya.hatenablog.com

 

ワンダラーズ・フロム・スーパー・スキーム

プロジェクトEGGで配信している「ワンダラーズ・フロム・スーパー・スキーム」という謎のゲーム。解説によると、ボーステックの「ザ・スキーム」のスタッフが集結して開発した続編とのこと(1989年/PC-8801用)。音楽は古代さんが続投。ザ・スキームは音楽の良さが今でも語り草になってます。

価格はなんと0円(会費550円/月が必要)。

開発元は「オニオンソフト」。あのHSPの、おにたまさんの、オニオンソフト!? 1989年というと、PC-88の末期にPC-98DOが出た年です。(自分の勝手な妄想ですが)続編を開発したけどお蔵入りになってしまって、結局同人ソフトとして売ったというパターンではないでしょうか。

お蔵入りしたゲームを他所で公開するってのは普通は不可能ですが、海外だと、NES版「デイズ・オブ・サンダー」とかNES版「ハード・ドライビン」をネットで公開した例があります。

 

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ワンダラーズ・フロム・スーパー・スキーム

ちょっと遊んでみました。

タイトル画面が、もろに「イース3」です。題名からして、狙ってますけど。

多重スクロールしています。すごい技術力。

 

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GAME OVER

弾を撃ちながら、敵を倒して右へ進みます。アイテムは一切ありません。

動きがガクガクなのが気になりますが、当時のパソコンゲームってこんな感じですね。PC-8801でグラフィック画面のスクロールは厳しいなと感じます。

敵が恐ろしく頑丈。弾を当てても手ごたえが無い。ダメージ表現か爆発が欲しいところ。

よくわからないうちにGAME OVER。コンティニューはありません。

 

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テトリス!?

どうにかこうにか進んでいくと、テトリスが出ました。

凄いインパクトですが、処理落ちが激しいです。この攻撃を避けるのは無理では。

 

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問答無用で突進してくる敵

テトリスを倒したあたりで終わりかと思ったら、まだ続きます。

多重スクロールは見栄えはいいのですが、敵が隠れて見づらくなる場面が多々あります。この処理のおかげで動作が重くなっているはずなので、デメリットしかないのでは。

 

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ボス

ファンタジーゾーンのアレみたいなボス。グルグル回転してます。

何度も死にながら、右側へ移動しました。左側にいると死にます。

技術力は素晴らしいのですが、やはり処理落ちが気になります。

 

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ここで力尽きました

 ボスを倒して、終わったかと思ったら、まだ続きます。

敵が猛スピードで飛んでくるし、死にまくりです。このへんでもうGAME OVER。

自分は心が折れてしまいましたが、これ最後まで行く人っているのでしょうか?

クリア動画を見たいです。

ザナドゥの話

なぜ、昔のパソコンゲームって、まともに語られていないのか?

アーケードゲームとか家庭用ゲームは懐かし系の本が定期的に出るのに対して、PCゲームの懐かし系の本はほとんどありません。資料がないのか、需要がないのか、はたまたライターがいないのか。先日、Kindleで「国産RPGの歴史」みたいな記事を読んだのですが、「ザナドゥ」がちゃんと紹介されてなかったのですよ。もう、そういうのに期待しないほうがいいのでしょうか。

最初期の国産RPGというと、思い付くのは「ドラゴンスレイヤー」「ハイドライド」「ブラックオニキス」です。すべて1984年の作品。さらに遡って、1983年の雑誌に「ぱのらま島(日本ファルコム)」「DUNGEON(光栄マイコンシステム)」の広告がありますけど、謎すぎてスルーされていたと思います。詳しい方に解説お任せします。

ドラゴンスレイヤーは「ウルティマIII」の影響があり、ハイドライドは「ドルアーガの塔」の影響があり、ブラックオニキスは「ウィザードリィ」の影響が見られます。そうなると「ドルアーガの塔」はかなりエポックメイキングな存在ですね。

当時のホビー系のパソコンはセットで20万円以上。のちに出たX68000だと50万円くらいに達してしまう。こうして、人を選んで選んで選びまくるのがパソコンゲームでした。MSXの登場で少しハードルが下がったかもしれません。

その後、「ゼルダの伝説」(1986年2月)や「ドラゴンクエスト」(1986年5月)がファミコンに発売されて、RPGは一般化していきます。ザナドゥの発売は1985年。まだパソコンゲームの天下だった時期に登場しています。

 

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X1用「ザナドゥ」のテープC

これは、X1用ザナドゥ テープ版のテープC。今から35年くらい前ですが、夢中で遊んでクリアしました。あの頃のプレイの真剣さは今の比ではありません。

テープAが起動用。テープCはユーザーテープです。テープBはユーザーテープのマスターです。テープCはブランクのカセットテープから作ります。レベル(マップ)を移動したり、装備を変えたりすると、テープCに読み書きを行います。X1に内蔵してるデータレコーダは「高速電磁メカカセット」と呼ばれていて、テープの頭出し機能がありました。それを使ってフロッピーディスクのランダムアクセスのような処理が可能でした。他にこの技術を駆使するソフトハウスはなかったと思います。なお、フロッピー版もテープ版と同じくA/B/Cに分かれています。

テープCには、マップに存在する敵の数とか、タワーに放置した宝箱とか、マトックで掘った穴とか。プレイ中の細かい情報が記録されます。電源を入れ直しても、遊んでいた世界がしっかり再現される。ザナドゥ特有の優れた技術です。

 

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ベーマガ1986年2月号より

ベーマガ1986年2月号のザナドゥの広告。発売日をかなり過ぎてからの掲載です。

この時点でX1版、PC-8001mkIISR版、PC-8801版、PC-8801mkIISR版、PC-9801版が出揃ってます。後にFM-7版も出ましたし、技術力の高さがうかがえます。PC-9801の外付けドライブ用8インチフロッピーディスク版なんてのも出ました。ザナドゥが大ヒットした原因は対応機種の豊富さにあります。

1987年11月には、不可能だと思われていたMSXのカートリッジ版が発売されます。あのザナドゥが8KBのRAMで動いてしまう謎技術。現在、MSXザナドゥiOS用のアプリ「PicoPico」でも遊ぶことができます。 

この広告、横山宏さんのジオラマが載っていて、今だとなんのこっちゃ?だと思いますが、当時はログインで横山さんの作品が人気でした。「ログイン」がPCゲーム界において大きな影響力を持っていたという証拠です。

ザナドゥより前の日本ファルコムは、ベーマガに広告をほとんど出していません。それまで日本ファルコムはパッケージが妙に不気味で「技術力は高いが謎のソフトハウス」という印象。日本ファルコムはアップルII向けのパソコンショップがルーツであり、海外PCの情報を吸収できるという強みがありました。前作の「ドラゴンスレイヤー」はハイドライドより3か月ほど早くリリースしてます。

ザナドゥは1985年10月に発売されたらしいのですが、発売直後の情報はベーマガに載っていません。一応、1986年1月号(1985年12月売り)の通販ページでタイトルが確認できます。題名がザナドウ(ウが大きい)ですが。当時はハイドライドII」ばかり載っていました。ザナドゥは難易度が高く、やり込み前提のゲームでした。そのため、人気に火が付くまでにタイムラグがあります。ザナドゥの紹介記事(2ページ)がベーマガに初掲載されたのが1986年2月号です。

 

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チャレンジ!!パソコンAVGRPG

1986年4月27日に「チャレンジ!!パソコンAVGRPG」が発売。この本にザナドゥの攻略方法が大々的に掲載されています。当時、ザナドゥに苦戦してた人たちが、この本に飛びつきました。ちなみに「パソコンサンデー」でザナドゥが特集されたのも1986年4月27日です。

ザナドゥのヒットで日本ファルコムが勢いづきます。ザナドゥ関連の公式資料集、ゲームブック、レコード/カセット/CD、コミックが発売されます。ゲームミュージックをオーケストラで演奏してレコード化するという発想は時代を先取りしています。

ベーマガ日本ファルコムの広告が大量に掲載され、矢継ぎ早にソフトがリリースされます。

ザナドゥ」→「シナリオII」→「太陽の神殿アステカII」→「ロマンシア」→「イース」。ここまでの期間が約1年8か月。

イース以降も、ちょっとおかしいテンションが1988年初頭まで続きます。

  

現在、ザナドゥプロジェクトEGGWindows用ゲームとして配信しています(PC-8801版/FM-7版/MSX版)。この他に、1995年にPC-9801用にリメイクした「リバイバルザナドゥ」もあります。 

自分はPC-8801を購入してみました。FM音源が鳴っているのでmkIISR版ですね。お店のグラフィックがウルティマIIIっぽいので、初期バージョンです。

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スタート画面。ここでキャラを作成

▲久しぶりにザナドゥを遊んでみました。

この2色だけの背景。3色だけのキャラ画像。容量削減と処理速度アップを狙った結果だと思いますが、洗練されていてカッコいいです。今でも安っぽくないと思います。

ちなみに名前を「HYDLIDE」にすると、体力が「0」のまま城から出てしまいます。本作は「ハイドライドII」はほぼ同時期に発売されただけあって、作者が猛烈にライバル視していたことがうかがえます。

 

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Goldが足りない

▲LEVEL2に入ったあたりで、早くも詰みました。Key(鍵)やFood(食料)が買えない。敵を狩りつくしたのでGold(お金)が入らない。

ザナドゥってこんな感じのゲームだったと思い出しました。

最初からやり直しです。プロジェクトEGG版の場合、ユーザーディスクを作り直すには、「〜セーブ.DAT」ファイルを手動で削除します。今度はカリスマ(CHR)を上げて、買い物が有利に運ぶようにします。

なお、セーブは神々への献金ということでGoldを消費してしまいます。無料でセーブするにはゲートを通過すればOKです。

  

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戦略性の高いバトル

▲当時のPCゲームは8ピクセル単位で動いたり、画面更新が遅かったり、チカチカしたり、ビジュアルの悪さが当たり前でした。パソコンにとって、最も不得意なジャンルがアクションゲームです。

それに対して、ザナドゥの場合はヌルヌルと動く。キャラ画像のクオリティが高くて、左右反転も使ってません。これが、当時はすごくリアルに感じました。他とは違う「高級なゲームを遊んでる」という優越感がありました。

 

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戦闘中

▲アクションがよくできてます。上の画面を見て、面白そうには見えないかもしれませんが、非常に面白いです。

敵に囲まれないように外側から攻撃するとか。接触しないように魔法で攻撃する(しかしアイテムが出なくなる)とか。敵の種類に合わせて魔法を使うとか。宝箱を障害物として使うとか。イース半キャラずらしよりも繊細です。

あと、アイテムに毒が混ざってたりというトラップもある。プレイヤーが油断するとゲームオーバーになるように作られてます。

レベルアップすれば勝てるようになりますが、レベルアップするとFoodが減りやすくなり、鍵が値上がりするというデメリットもあります。

マップ上に同じ敵が出てくるのは4回まで。4回戦うと、マップから消滅する。敵は出現ごとに強くなる。所持するアイテム、移動の能力、魔法の耐性まで変わるという凝りよう。初戦は楽勝だったけど、2戦目以降で返り討ちにあうように計算されています。

ザナドゥの最大の特徴は、敵がマップから消滅するということ。敵が減り続けるゲームです。マップに存在するお金が限られているので、ムダな買い物はできません。得られる経験値も限られていますので、どうやって割り振るかも重要です。

敵が消えたら、次のマップに進むしかありません。レベル上げの単純作業がない反面、クリアするまでずっと苦戦する。厳しい制約で、プレイヤーをガチガチに縛ってしまうのが、このゲームの凄いところ。

長々と書きましたが、戦略性が高いゲームです。パズル的と言ってもいいかも。 

 

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カルマ(KRM)が255

▲LEVEL3に到着したあたりで、なにかおかしい、、、と思ったらカルマ(KRM)が「255」になってました。リセットして、やり直し。

ザナドゥってこんな感じのゲームでした(2度目)。殺したらダメな敵がいるので調べておく必要があります。

 

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アイテムの経験値

▲ ザナドゥは「熟練度」というパラメータがあって武器やアイテムは使うほど性能が上がります。

防具は攻撃を受けることで熟練度が上がります。適当な敵を見つけてわざと攻撃を食らいます。弱すぎる敵だと効果ありません。敵からダメージを受けた場合、そのダメージがだんだんと減っていきます。敵と接触する向きでもダメージが違う。

熟練度の上がり方が比例してないところが、よくできてます。

 

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二段ジャンプで上に移動

 ▲二段ジャンプで垂直に移動。これはゲームパッドだと無理なのでキーボードで操作します。

最初プレイした時は「こんなんできるか」とキレると思いますが、慣れてしまえばどうってことありません。

もし、今リメイクするなら、どうにかしてゲームパッドでも操作できるようにしたほうがいいですね。装備の変更も。

 

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斜めキー押しっぱなしでジャンプ

 ▲キーを押しっぱなしにすると、動きに勢いがついて余分にジャンプできます。理屈はよくわかりませんが、必須のテクニックです。シナリオIIではもっと高度なジャンプが要求されます。

この場面では、斜めキー押しっぱなしで一気に渡ります。

  

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LEVEL7の一方通行地獄

▲LEVEL7のマップ。一方通行なので降りるしかありません。

ここも仕組みがわかってしまえば、なんてことありません。慣れは恐ろしい。

  

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LEVEL10。タワーに入れない

▲LEVEL10に到着。横着してBlack Onyxでワープして来ましたが、タワーに入れません。この謎については、ベーマガ1986年7月号で回答しています。

元のLEVELに一気に戻るにはFire Crystalを使いますが、失敗するとレンガに埋まります。

 

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LEVEL9。シルバードラゴン

▲緻密に作られているザナドゥですが、デカキャラとの戦闘に関しては大ざっぱです。レベルアップしてたら勝てるだけ。勝てるかどうかは、出会ってみないとわからない。デカキャラと戦闘する時、勝手にセーブされるので要注意です。下手をすると詰むという、酷な仕様です。

キングドラゴンとの戦闘だけは対策が必要です。

このデカキャラ、当時はこんなにデカくていいのかと思ったのですが、今だとそういう驚きはないですね。

  

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地図

 ▲終盤、寺院に行くと、ドラゴンスレイヤーを示す地図が表示されます。

テープ版だと、この画面はないので、見れて嬉しいです。地図にはあんまり意味がないですけど。

 

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ドラゴンスレイヤー

Dragon Slayerを入手。

改めて遊んでみると、Hourglass(時間停止)とDemons Ring(透明人間)が便利すぎますね。アイテムでゴリ押しできてしまいます。そこが良い点なわけですけど。

  

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経験値を上げる

キングドラゴンと戦う前に下準備。

ザコと戦って熟練度を上げます。
 

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キングドラゴンに攻撃

 ▲いきなりキングドラゴン登場。倒したら、即エンディングです。

キングドラゴンをどうやって倒すのかが、このゲーム最大の謎です。自分の場合、学校で面識のない上級生から倒し方を教えてもらったのですが、何がきっかけでそうなったのかが思い出せません。

 

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よくわからないエンディング

 ▲この、よくわからないエンディング。今でも意味がわかりません。

当時はクリア時のユーザーディスク/テープを日本ファルコムに送ると「認定証」がもらえました。それほどまでに真剣に遊んでいました。今でいう「トロフィー」とか「実績」ですね。

エンディングを見て、偉業を成し遂げたという気になりますが、実際はクリアできるように作られているわけで、やっぱりゲームバランスが優れてるなと思います。

 

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ザナドゥ シナリオII

▲蛇足ながらシナリオIIの話。

これが「シナリオII」です。マップが新しいだけじゃなくて、システム面も新しくなったザナドゥの追加コンテンツです。オリジナル版は前作がないと遊べないという仕様ですが、プロジェクトEGG版は単体で遊べます。

このシナリオIIは問題作。良くいえば、実験作でしょうか。

面白いとかつまんないとか以前に「変」です。お金がなくて困ったと思ったら、お金が余りまくり、鍵が安すぎ、開錠が単なる作業になったり、無駄に歩かせたり、敵が強すぎたり、弱すぎたり、変なところだらけです。最強魔法のDeathがLEVEL1のショップで普通に売ってるのは掟破りすぎ。

いきなりデカキャラとか、脈絡のないワープ、落ちたらトゲトゲとか、隠れカルマキャラとか、こういうのがゲームの「難しさ」ってことになっているのですが、単なるだまし討ちなので、遊んでいて納得できないです。アイテムショップに寄らないと詰むと思います。ユーザーディスクのバックアップは必須です。

結局、ザナドゥを名作にしていた理由はマップの作り込みだった、ということになります。

一応、シナリオIIの良いところを挙げておくと、こんな感じでしょうか。

  • Ladder等のアイテムが増えた
  • エンカウント時の音楽がなくなった
  • Foodが大量に買えるようになった
  • 熟練度のステータスが見やすくなった
  • 古代サウンドがいっぱい聞ける

 

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1987年当時のパンフ

▲ちなみにカタログではこの通り。「初心者から上級者まで全員が楽しめる」、、、って、無理がありすぎます。

 

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イース付属のカタログ(1987年)

▲さらに蛇足ながらイースについても書いておきます。

イース」に付属していたカタログのザナドゥ紹介です。ザナドゥのコミカライズがこの頃から始まり、世界観を軌道修正してます。

以前のザナドゥのキャッチコピーは「パソコン史上No.1 究極のR.P.G!」でしたが、イースの登場で「パソコン史上に名を残す名作」に変化しています。「No.1」が消し飛びました。

当時、ベーマガにはイースの広告が毎号掲載されました。広告のキャッチコピーが以下の通りです。

  • 1987年6月号「新作を待ち焦がれていた全国37万人のファルコムファンに贈る!」
  • 1987年7月号「幾重に織りなす謎の世界(イマージュ)」
  • (1987年6月21日 イース発売)
  • 1987年8月号「新世代ロールプレイング、ファルコムより誕生!」
  • 1987年9月号「RPGは今、優しさの時代へ-」
  • 1987年10月号~11月号「より難しければいい という危険な思い込み。」
  • 1987年12月号~88年2月号「“より難しければいい”というのは危険な思い込みだ。今、RPGは優しさの時代への第一歩を踏み出した。」

日本ファルコムからユーザーへのメッセージ。回を重ねるごとに語気が強まってます。当時、イースの広告はページをめくると、ザナドゥ/シナリオII&ロマンシア&アステカIIの広告がありました。これら旧作品は「難しい」ことを誇っていました。

1988年2月号から、旧作品が広告から消えてしまいます。ザナドゥブームの終焉です。

ちょっと気になったのですが「37万人ファルコムファン」って数字はどこから来たのでしょうか。ザナドゥ40万本売れたという情報も裏付けが欲しいです。シナリオIIと合算なのか、そうじゃないのか。調べるための手掛かりがありません。

ザナドゥの広告が載らなくなった数か月後、ザナドゥオリジナルビデオアニメが発売されています。果たして、アニメはどれくらい売れたのでしょうか。

 

以上で、ザナドゥについて書きたいことは書き終わりました。

ザナドゥの遺伝子が現在のゲームに受け継がれて欲しいです。今、こういうゲームって受け入れられるのでしょうか。「ダークソウル」とかがアリなら、これもアリな気がするのですが。

SF特攻警備隊 ダイナマイト轟轟

現在、プロジェクトEGG「SF特攻警備隊 ダイナマイト轟轟」というゲームが配信中です。

なんと、このゲーム、Windowsで動作するMSX用の新作です。ジャンルはシューティング。MSXの新作ゲームを出す場合、ライセンスの手続きがまったくわからないのですが、D4エンタープライズさんなら実現できてしまうのがさすが。正規のMSX用ソフトが2021年に発売されたってことに大きな意義があります。

これ、カートリッジ版は出るのでしょうか?

 

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「SF特攻警備隊 ダイナマイト轟轟(冒険編)」

ゲームのタイトル画面。当然、フルスクリーン表示も可能です。

本作は無料の「冒険編」有料の「対決編」の2種類があります。冒険編は対決編よりも面数が制限されているのですが、それでも充分なボリュームです。どちらのバージョンも、遊ぶにはプロジェクトEGGの会員である必要があります(月額550円)。

ゲームを起動すると、あのMSXのログマークが出て「Main RAM 256KBytes」と表示されます。RAMを256KBも搭載してるとなると、MSXturboR相当ですが、ハード的にはMSX1です。先日のアップデートでMSX2版も出たみたいですが、ここではMSX1版について書いてます。

ここで気になるのは画面のコピーライト表記。1つ目の「RUTUBO GAMEWORKS」は「るつぼゲームワークス」という会社ですね。 「ゲームのるつぼ」と関係あるんでしょうか。

2つ目の「CLUB MSX / T.MATSUSHIMA」。前半の「CLUB MSX」の意味がわかりません。後半の「T.MATSUSHIMA」って、あの松島徹さんですね。

余談ですが、マイコンソフト製のゲームのフロッピーには「るつぼ.doc」っていう、テキストファイルがよく入っていて、作品によっては松島さんのコメントが書かれてました。

 

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ド派手なエフェクト

プレイしてみました。本当にMSX1か? 実機で動くのか? というくらいビジュアルが派手ですね。

、、、なんだかよくわからないうちに死にました。2回目以降は問題なく遊べました。

付属のREADMEによると、操作方法は以下のとおり。

 

[1ボタン]:メインウェポン射撃(長押しでチャージショット) / 決定

[2ボタン]:オプション射撃(長押しでオプション位置変更) 

[↓] + [1ボタン]:3WAY射撃

 

2つのボタンのうち、どちらも長押しが重要です。よくあるシューティングゲームと同じノリで操作すると、おかしなことになります。

スクロールを戻せたり、連射ばかりじゃないというのが、独創的です。前作のベルーガに似てます。

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SF特攻空母ベルーガ16bit版

 

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タイニーゼビウスmkII

参考までにタイニーゼビウスmkIIの動作中の画面。右下に「T.MATSUSHIMA」の名前があります。mkIIじゃないタイニーゼビウスの場合はタイトル画面で名前が表示されます。P6ユーザーには、この名前の存在がとても大きかったです。

ハードの人気が衰えていくと、対応ソフトは必然的に減っていきます。そうした極限状態の中で「グロブダー」とか「スペースハリアー」が発売されることの喜び。この感動はゲームに飢えたことがない人にはわかりません

 

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ベーマガ1992年1月号265ページ目より

ついでに紹介しておきますが、ベーマガ1992年1月号にも松島さんのお名前があります。本誌を持ってる人は探してみてください。

X68000芸術祭インフォメーション」の北陸/近畿地区大会の記事。松島さんは「S・I・R」という作品でシャープエレクトロニクス販売賞を受賞しています。本選には進んでいないため、ムックのディスクに収録されていません。この作品、3Dポリゴンが動くデモらしいのですが、モノクロ写真じゃなくて、カラーで動いてるのが見たい。「S・I・R」の意味も謎です。ここでの山下さんのコメントが「スターブレード』を作ってみては(本当に作ってしまったらビビるけど)?」ですけど、その後、松島さんは「戦場の絆」を作られているので、かなり的確だったわけですね。

 

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ドムじゃなくて、トモス

松島徹さんのネームバリューは絶大、という例。2005年発売の「みんながコレで燃えた!NEC8ビットパソコン PC-8001PC-6001 永久保存版(アスキー)」で松島さんが「WANTED!!」な人扱いになってます。今現在も謎ですけど。このページは松島さんが作ったPC-6001mkII版「スペースハリアー」を紹介しているのですが、敵キャラの名前を間違えるという痛恨のミスが。この本は永久保存版ってわりに誤植が多いです。あと、マイコンソフトのなにわさんのインタビューが載っているのでオススメです。

 

D4エンタープライズつながりの話。

nicotakuya.hatenablog.com