これは、「いろいろ作りながら学ぶ!Python入門」というムックからの抜粋です。ドット絵を動かすゲームのことを「レトロゲーム」と呼んでいて、本来の意味とは違ってしまっています。
誰がこんないい加減な記事を、、、すみません、私です。これはライブラリの名称が元から「レトロゲームエンジン」なので、こういう表現になっています。ごめんなさい。
あと、海外の書籍では「レトロゲーミング」という新しい言葉も使われてました。これは、どうやら「見た目がレトロなゲームを遊ぶ(or 作る)こと」をそう呼んでいるようです。
「レトロゲーム」という言葉は定義があいまいすぎて、どうも良くないと思います。言葉の定義がガバガバすぎるので、使い勝手が良すぎです。世のゲームは「レトロゲーム」と言っておけば高確率で当てはまります。どんなゲームも古くなります。
物理的な古さ、または見た目の古さで「レトロ」と言ってしまうことがモヤっとしてしまいます。良質なゲームは良質であるほど内容は古くなっていないわけで、ある意味レトロじゃないわけです。それなのにレトロ呼び。そこまでしてレトロ呼びしたいのは、どういう理由なのか。
「20年経ったらレトロゲームと呼んでもいい」というルールは、ちょっと無理がある気がします。20年で何がどうなるという根拠ってあるのでしょうか。どれをレトロゲームと呼べ/呼ぶなという不毛な議論が続きそうな。
映画だと「マトリックス」や「ファイトクラブ」は公開から20年以上経ちましたが、これを「レトロ映画」と呼びません。そういうカテゴリが元から必要ないってのがあります。相当古いものには「クラシック映画」みたいな表現はありますが。
ゲームに「レトロ」のカテゴリは必要なのか? って話になります。中古業者さんは無いと困るのでしょうか。レトロゲーム以外の、もっと別のうまい表現があったらいいのですが、思い付きません。誰か考えて欲しいです。
で、ここからが本題ですが、「レトロゲーム」という言葉が、いつどうやって誕生したのか、ベーマガのバックナンバーで調べてみました。しかし、「レトロゲーム」の発祥がベーマガだとは思えないので、情報源としてはかなり弱いです。無謀ですね。もっと有力な情報をお持ちの方はお教えください。
まず、ベーマガを読み直して気が付いたのが、「レトロブーム」という謎のムーブメントです。たとえば、次のような記述があります。
・1987年5月号 235ページ「アルカノイド以来のビデオゲーム界のレトロブームが」
・1987年7月号 95ページ「もろにレトロブームに便乗してますね」
・1987年7月号 168ページ「ゲームの世界もレトロブームかもしれません」
・1987年7月号 235ページ「レトロブームを反映したのか」
・1987年9月号 289ページ「レトロブームなどとこだわらずにビデオゲームは歴史の浅い物ですから」(見城さん談)
・1987年10月号 115ページ「騒がれていたレトロブームも過ぎ去った観がありますが」
・1987年10月号 172ページ「レトロブームにのったつもり」
・1987年10月号 237ページ「ビデオゲームのレトロブームが進む今日この頃」
・1987年12月号 246ページ「レトロブームを受けてのリメイク路線」
・1987年12月号 302ページ「ビデオゲームにもとうとうレトロブームが巻き起ったようです」
・1988年1月号 103ページ「レトロブームでのりにのっているブロックくずしです」
・1988年1月号 268ページ「レトロ(懐古)が流行りだそうだ」
、、、どうやら、1987~1988年の日本は「レトロブーム」だったようです。しかし、これについては検索してもヒットしませんし、自分は全く心当たりがありません。
もう謎すぎて不気味です。
あと、1988年8月号掲載の「チャレンジ!PCエンジン」では、ナムコの「ギャラガ'88」について「ギャラガがレトロブームに乗ってリメイクされた」と紹介しています。恐るべし、レトロブーム。
想像ですが、このレトロブームに影響されて「レトロゲーム」という言葉が誕生したのではないでしょうか。
謎のレトロブームから約1年後。これは「レスキューAVG&RPG」という質問コーナーの中に新設された「レトロAVG&RPG」というコーナーです。「レトロゲーム」呼びじゃなくて、「レトロAVG&RPG」なのが惜しいです。
この「レトロAVG&RPG」の誕生については、レスキュー隊員の清水毅さんが次のように語っています。
「これは、あまりにも古いゲームなので質問しても答えてくれないんじゃないかと不安に思っている読者のために設けたコーナーだ。我々、レスキュー隊は、9月号の青木クンの言葉にもあったとおり、新しいゲームだろうと古いゲームだろうと差別をしないのがポリシー。」
、、、さすが、良いこと言う。
このコメントを読んで腑に落ちましたが、自分はレトロゲームって言葉に差別的なものを感じてて、それでモヤっとしてたわけです。
あと、この記事に出てくるゲームは1983年発売の「デゼニランド」です。掲載当時からすると、6年前のゲームですが、これを「レトロだ」と認識しているのが面白いです。今だと1989年のゲームもレトロです。
それにしても、11歳の少年が十字架で2年間悩んでいるというのはあまりに酷ですね。ハドソンの開発の人は反省したほうがいいのでは。
ありました。ベーマガで見つけた最も古い「レトロゲーム」です。
(*見落としている可能性があるので、間違っていたらお教えください。
1989年10月号に「レトロ・ゲーム電卓」という投稿がありますが、微妙に意味が違うので除外してます。)
「読者の意見 ホンキでPlay ホンネでReview!!」というコーナーのSさん(16歳)の投書です。個人情報保護に配慮して名前をイニシャルにしました。投書の内容は、レトロゲーム=「ドアドアmkII」を久々に遊んだら感動したというものです。
しかし、「ドアドアmkII」の発売が1985年で、この記事が1989年。、、、4年前のゲームをレトロゲーム呼び?! これはどういうことでしょうか。先ほどは6年前のデゼニランドがレトロ扱いでしたが、昔のレトロゲームはそれほど昔ではなかったようです(日本語おかしい)。これは、ゲームの進化があまりにも激しすぎて、時間差があまりなかったということでしょうか。やはり、レトロゲームという言葉は定義がガバガバです。
ちなみに90年代中盤までで、「レトロゲーム」という言葉を使うライターさんは見当たりませんでした。
ここにも「レトロゲーム」がありました。テクナートの広告です。
Sさんの投稿から1か月遅れです。以後、テクナートの広告では「レトロゲーム」という言葉を何度も掲載しています。文字が小さいので、これで世間に広まったっていう可能性はなさそうです。
あと、レトロゲームといえば見城こうじさんというイメージ(偏見)があるのですが、見城さんは1986年の時点で「オールド・ゲーム」という言葉を使っています。ベーマガ史的にレトロゲームが登場する3年前ですね。
この頃からもう懐かしのゲームを捜し歩いているあたりがもう筋金入りです。恐れ入ります。
「オールド・ゲーム」というフレーズはあまり浸透していないように思えますが、ベーマガ内では「ビデオゲーム CLASSIC GUIDE」というコーナーで毎号使われていました。「君よ、オールド・ゲームを語れ」という煽り文句が熱い。
「ビデオゲーム CLASSIC GUIDE」はベーマガ1998年9月号まで載り続けるという超長期連載でした。このコーナーって担当者が書いていなくて不思議だったのですが、ALL ABOUT ベーマガによると見城さんだったとのこと。