昔、イーロン・マスクさんが自作のゲームを雑誌に投稿したことがある。
5年前に出版された「Elon Musk:Tesla,SpaceX,and the Quest for a Fantastic Future」という本に書かれていて、世間ではよく知られているみたいです。
検索しても一杯出てきます。
これによると、13歳の時(1984年)、「PC and Office Technology」という雑誌にゲームのソースが掲載されたとのこと。こんなゲームで遊んでいた少年がのちに億万長者になった、というのが夢がありすぎです。
機種はスペクトラビデオの「SV-318」または「SV-328」。どちらか知りませんが、裕福だったので、おそらくSV-328ですね。イーロン・マスクさんはアメリカの大学に進むまで南アフリカにお住まいでしたが、そこでもSV-328は売っていたようです。
ソースを見ると、スプライトの命令があったり、ものすごく「MSX-BASIC」っぽいのですが、MSXではありません。
SV-328はMSXの原型になったパソコンです。
これによると、本体の製造はBondwellが担当。これは、設計も担当していたということでしょうか。Bondwellは自社ブランドのパソコンもいくつか出していて、1994年くらいまでは会社が存在していたようです。
BASICはマイクロソフト製。当時はBIOSもBASICも一体になっていました。BIOSの仕様はMSXとの完全な互換性はありません。
MSXエミュレータ「openMSX」の画面です。SV-328のROMがあったら動かせるみたいですが、持ってないので諦めました。
あと、上記のページに「1984年にスペクトラビデオがマイクロソフトにSV-328のハードウェア技術をライセンス供給(売った)」と書かれてます。MSXのハードがゼロから立ち上げたものではなく、他社製品の流用だったという事実。MS-DOS誕生の歴史みたいなことになってます。
時系列はこんな感じでしょうか。
・1983年1月 「SV-318」発表
・1983年6月 「SV-328」発表
・1983年6月 MSXの仕様を公開
・1984年(?) SV-328のハードのライセンス供給
・1984年後半 「SVI-728」発売(完全なMSX互換機)
このどこかで西和彦さんが「SV-328をMSXに使おう」と思い立つはずなのですが、どのタイミングでしょうか。MSX用にカスタマイズする時間が必要なので、SV-328の開発途中から計画していたことになります。
ライセンス供給が1984年だと、MSX発表の1983年とタイミングが合いません。記載のミスなのか、先走って計画を進めていたかのどちらかになります。
あと、SV-318はキーボードの形状がPC-6001とよく似てます。右側にあるジョイスティックは別ですが。スペックも似てるし、かなりPC-6001を意識して設計したのだと思います。
MSXって、PC-6001とスロットの仕様が同じだったり、ところどころPC-6001をパクってる感じが気になってましたが、 ここに来てその印象がさらに強まりました。