グラディウス2 for MSXの話

プロジェクトEGGで配信中の「グラディウス2 for MSX(1987年)」を遊んでみました。中古で8000円くらいするプレミアソフトですが、これは550円で遊べます。

アーケードの「グラディウスII(1988年)」とは別物です。本作を「グラディウス2(に)」と呼ぶとかWikipediaに書いてありますけど、一度も聞いたことないので、何かの間違いでは。

 

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独自進化のグラディウス

この作品、見た目が好みじゃないせいで、ずっと敬遠してましたが、これはこれで面白い。MSXでここまで作り込んだことが凄いなと。

新ステージとか、新パワーアップとか、SCC搭載とか、チャレンジ精神に溢れてます。「グラディウスリバース」の元ネタがあちこちに出てきます。説明書の序文から察するに、最初は「沙羅曼蛇」を移植しようと思っていたんでしょうか。

 

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落ちる床

特に感心したのが、この落ちる床。

背景が8ピクセル単位でガコガコ動きます。これはハードの問題なのでどうにもならないですが。

 

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難しすぎる

それにしても難しすぎです。意地の悪い仕掛けも多い。

全体的にフレームレート足りなくて、たまにスプライトが消えるので(それは再現しなくてもいい)、なんだかよくわからないうちに死んでることがあります。

 

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やはり難しすぎる

ステージ6。敵が後ろから来て、上下からも来て、前からも来るので、どうにも進めないです。

以前、「敵が頑丈であること」と「視認性が悪いこと」がクソゲーの二か条だと書きましたが、この場面はまさにそれ。

 

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いうまでもなく難しすぎる

ステージ7。障害物を破壊しながら進む。斬新すぎる要塞ステージ。

初見殺しにもほどがある。

 

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問題無用で難しすぎる

どうにかこうにか、最後のボスに到着。最後じゃないけど。

このステージが折り返し点で、最終的には14ステージまであります。

攻撃がむちゃくちゃすぎ。死んだら巻き戻しなので、ストレスになります。これを許した時代があったのか、、、という感想です。

 

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中二的なストーリー

デモに表示されるストーリー。

個人の感想ですが、この中学二年生なノリにはついていけません。グラディウス2はその昔、一般からストーリーを募集したことがあって、実際に中学生のが採用されたのかと思っていましたが、そんなことはありません。

 

グラディウス2」の作品募集の記事はベーマガ1987年7〜8月号コナミ工業(現コナミ)の広告に載っていました。「グラディウス・フェア」というキャンペーンの一環です。応募の期間は1987年6月15日〜7月31日まででした。

募集内容は以下の4部門。

「ゲームアイデア部門」

「ストーリー・シナリオ部門」

「イラスト・モデル部門」

ジオラマ部門」

そして、締切から22日後、1987年8月22日に「グラディウス2」が発売しています。

20日程度で、カートリッジの製造・販売までこぎつけるのは時間的に無理。作品の審査も考えたら、もっと無理です。なので、応募のネタはゲーム内には入っていないはずです。広告にも「応募作品を採用する」とはどこにも書いていませんでした。

翌年(1988年)にはアーケードで「グラディウスII」が発売されているので、応募のネタがそっちに入っている可能性がありますが、確かめる方法がありません。

ベーマガ1987年11月号の306ページ目(企業ページ)に、受賞者4名のフルネームと写真(大賞の方の顔だけ)が小さく発表されています。

これによると、受賞の発表会が1987年9月5日に開催済みです。締切から1か月くらいで、審査と受賞者へのコンタクトを終わらせたということになります。

受賞者の部門は以下の4つ。

グラディウス2大賞」

ジオラマ部門優秀賞」

「アイデア部門優秀賞」

「イラスト部門優秀賞」

、、、ストーリー・シナリオ部門が見当たらないのですが、大賞がそれでしょうか?

この記事、応募の総数とか、応募作品の内容とか、重要な情報は書かれていません。ネタの宝庫なので、発表しにくいと思いますが。

(2021/10/22追記。雑誌「MSX・FAN」の1987年11月号に小さく作品が載ってました。)

 

名前が載っているので、ググったら、大賞を受賞したご本人がヒットしました。5年前のブログですね。

kazeblog6066.blog.fc2.com

驚きの情報がいくつか書かれています。

名前入りカートリッジについては広告に一行だけ書かれていましたが、実在していることに驚きました。UVEPROMを使っているのでしょうか。

野倉さんは2回目のコンテストでも最優秀賞(イラスト部門)を受賞してます。名前入りアーケード基板は存在そのものを知らなかった。

コナミ入社試験に「特別枠」があったというのが興味深い。コンテストには人材発掘の目的もあったのかも。

ここで書かれている「2回目のコンテスト」というのは、コナミ主催のグラディウスIII アイデア公募」です。雑誌「ゲーメスト」の1989年1月号(No.28)~2月号(No.29)にコンテストの募集記事が載っています。記事によると、応募作品の著作権コナミにタダで譲渡するとのこと。いまこれをやったら、利益の分配でモメるんじゃないかと思います。

応募の締切は1989年1月31日まででした。1000通以上の応募が集まり、締切から約5か月後、審査の結果がゲーメスト1989年8月号(No.35)で発表されました。

授賞式の様子はゲーメスト1989年11月号(No.38)に載っています。「グラディウスIII」は1989年12月に発売。応募のアイデアが実際に製品に組み込まれたのかどうかが気になります。