「バンダイ アルカディア」の本体背面には「端子」が2つ付いています。Arcadia2001にも同様の物が付いているようです。ご存知だったでしょうか?
この端子は説明書には説明がありません。図では該当箇所が真っ白で、存在すらしていません。
驚いたことに、サービスマニュアルでも説明がありません。本体を修理するサービスマンも知らない「謎の端子」ということになります。
この「謎の端子」は海外のwikipediaも困惑しているようで、次のように書かれています。
https://en.wikipedia.org/wiki/Arcadia_2001
It also has two outputs (or inputs) headphone jacks on the back of the unit, on the far left and far right sides.
、、、出力?
または入力?
ヘッドホン・ジャック?
むちゃくちゃすぎ。確かに3.5mmジャックなので、ヘッドホンが挿し込めそうって気になりますけど。
正解を書いてしまうと、これは「パドルコントローラを接続する」ための入力端子です。
以下のページで自作のパドルコントローラを接続して遊んでいる人が居ました。
このページ、驚きの連続です。
まず、パドルコントローラの自作方法が紹介されています。3.5mmステレオミニプラグに可変抵抗(500kオーム)とスイッチだけのシンプルな構造です。
遊んでいるのが「Circus」というゲームです。これはIntertonという会社の「VC 4000」用のゲームです。
別の会社のゲームがArcadia2001互換機で動いているのが不思議です。おそらく、全ての元となるハードウェアがVC 4000で、それをライセンス供給して、Arcadia2001(と互換機)が誕生したんじゃないかと思います。となると、「VC 4000互換機」と呼ぶのが正しいのかも。VC 4000は1978年発売のゲーム機。そして、アルカディアは1983年発売。5年前のスペックで、ゲームハード戦争を生き残ろうと思っていたのか、バンダイ、、、。
一番驚いたのが、アルカディア/Arcadia2001がアナログジョイスティック対応だったということ。
アルカディア本体にはテンキーとジョイスティック付きのコントローラが2つ付いています。なんと、最初からこのジョイスティックがアナログです。「謎の端子」の一部は、ここに接続されています。
そんなバカな、と思ったら本当にアナログでした。「ReadPadl」というジョイスティックのテストプログラムです。amiganに置いてあるサンプル集の「arcadia/Eurich」フォルダに収録されています。
http://amigan.yatho.com/examples.rar
「70(16進数)」はジョイスティックのセンター値です。エミュレータなので、ジョイスティックのX・Y方向は3パターンの値しか返してくれませんでした。しかし、ジョイスティックの回路はオン/オフ式のスイッチを採用していますので、現実でも、大まかには3パターンの電圧しか出ません。
アルカディア/Arcadia2001はアナログ対応なのに回路はデジタル的です。そして、アナログ対応のゲームが一本も発売されていません(たぶん)。
凄まじい矛盾です。
想像ですが、Arcadia2001を開発する段階で、アナログ要素をばっさり削除したんじゃないでしょうか。どういう理由でこうなったのか知りたいところです。
気になるのは、「謎の端子」の作りの雑さ。
上の写真はアルカディアを買ったままの状態から分解したものです。抵抗を空中配線してたり、ビニールテープで絶縁しています。これ、私がやったわけではありません。
なぜ、こんな素人っぽい出来になってしまったのか?
これも想像ですが、「アナログ要素を追加できるようにしよう」と後から思い立ったはいいが、Arcadia2001の設計をやり直せる人材がEmarsonに居なかったんじゃないでしょうか。アルカディア/Arcadia2001の基板がジャンパ線だらけなのは、それが理由だと思います。
アルカディア/Arcadia2001ユーザーが「パドルコントローラが接続できる!」と喜ぶ日は結局、来ませんでした。「謎の端子」が一度も使われずに市場から消えてしまったのが、もったいないです。
(アルカディア用のアナログ対応ゲームが実は存在するという場合は教えてください)