ハイドライドII for PC-8801(ネタバレ)

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ハイドライドII for PC-8801(1985年)」を遊んでみました。

本作は大ヒットしたARPGハイドライド」の続編です。マップは前作の6倍。魔法(全14種類)、アイテムの売買、ランプのオイル、会話モードなどなど、新機能が大量に追加されています。

今現在、「ハイドライドII」を遊ぶには、プロジェクトEGGの「ハイドライドII for PC-8801」、または「ハイドライド1・2・3」を入手するのがいいと思います。自分の場合は「蘇るPC-8801伝説永久保存版(2006年)」のCD-ROMに収録されている「ハイドライドII」で遊んでみました。これはプロジェクトEGGPC-8801版と同等だと思います。

ハイドライドII」の最大の特徴は超々難解ゲームであること。プレイヤーに優しくなくても良かった時代のRPGです。当時は先着で終了認定証がもらえるというシステムだったので、クリアに時間がかかる必要性がありました。そのため、謎が非常に理不尽です。

 

以下、ネタバレです。

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まずはグールを延々と殺して、プレイヤーのレベルを上げます。単純作業で神経がすり減ります。レベルアップすると体力だけ上がります。

STRは寺院のミニゲームで上げます。このミニゲームは曲者で、納得がいかないまま負けてしまいます。今回はステートセーブでズルしました。

「FORTH(FORCEの誤植?)」は「心」というパラメータで、これが低いと住人に相手にされなくなってしまいます。善玉のキャラを殺すと、FORTHが下がってしまいます。敵キャラにたまに善玉が混ざっています。

 

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墓石を壊すと、砂漠に町が出ます。なお、グールと話すと、たまに「HYDLIDE2はPC88、X1、FM-7ではつばいちゅう!」と答えます。

 

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鍵を使って、塔に侵入。ランプをいちいち点けたり消したりが面倒くさい。ランプのオイルが減っていくのが緊張感があります。

「SEARCH」の魔法で、怪しい部分を捜す。これが面倒です。このゲームは宝箱やトラップや階段が画面に描画されません。

塔の5階で最強の剣(LASER-SWORD)を入手。ですが、一向にプレイヤーが強くなった気がしない。どんなに弱い敵でも4回くらい攻撃する必要があります。プレイヤーも1回では死にません。この部分のアルゴリズムが謎です。

 

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岩を破壊すると、ダンジョンが現れます。この中で「HONEST」というキーワードを知ることができます。

 

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橋から水路を泳いで、もう一つのダンジョンに進入します。

ここでボス的なキャラを倒すと、GREEN CRYSTALを入手できます。クリスタルの効果についてはお坊さん(BONZE)がヒントを出してくれます。

 

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砂漠の町。MAGICは魔法屋でお金を払うだけで上がります。
左下の場所でキーボードから「HONEST」と入力してから、右側の水たまりに飛び込むと、地下帝国に入れます。入る時に毒を食らうのが意地が悪い。

 

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地下帝国からは難易度がケタ違いに上がります。敵に全く太刀打ちできません。泳ぐだけで体力が減りますし、安全地帯がどこにもありません。理不尽なトラップも多いです。

瀕死の状態で、地下3階でYELLOW CRYSTALを入手しました。

このナメクジ(SLUG)が出す魔法は回避不能。これはイライラする。

 

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レベルを上げるため、クラーケンを倒します。ものすごい手間と時間がかかるので、無心でやるしかありません。貯まったお金でSTRとMAGICを上げます。盾と鎧も新調します。ちなみに弱い敵を倒してもEXPは全く上がりません。

 

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地下1階で妖精が出現。最下層に移動するために必要となります。

 

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FIREの魔法で敵を倒して、その場所に行くと、RED CRYSTALが手に入ります。

 

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BLUE CRYSTALを入手。これを取ると、敵と正面衝突しても負けなくなります。もう終盤ですが。

 

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取る順番が通常と違いますが、地下3階でPURPLE CRYSTALを入手。

 

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クリスタルが5つ揃いました。この時点でレベル17です。

 

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地下4階にある階段。妖精が見つけてくれます。

 

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5つのクリスタルを石像にはめると、「神」を自称するラスボス(EVIL CRYSTAL)が登場。もうバラリスはザコ扱いです。MYSTIC DRUGを飲んでラスボスに攻撃。この薬を飲むとプレイヤーが幽霊のようになる、、、ってことみたいです。いまひとつ攻撃が当たっているのかわかりにくいです。

 

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よくわからないうちにラスボスが死んで、画面に「CONGRATULATIONS!」の文字が表示されます。自分にとっては幻のゲームだった「ハイドライドII」が遂に終わってしまいました。この後、スタッフクレジットが出て、最後にパスワードが表示されます。

この「ハイドライドII」は間違いなく超大作ですが、無茶なゲームバランスで実に惜しい出来。ノーヒントだとクリア不可能な謎の連続で、楽しいと思う以前にストレスが溜まってしまいます。ですが、ゼルダドラクエも無かった時代にこれを作ったというのは、大変な偉業です。先進性に全振りしたT&E SOFTらしい作品だと思います。

 

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ついでに、「ATTACK'86 in 秋葉原(1985年)」というイベントでもらったチラシを紹介します。表面に謎のポエムが書いてあります。イベントの告知はベーマガ1985年11月号の広告に掲載。発売前にハイドライドIIが遊べるということで、会場にはファンが殺到しました。

 

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チラシの裏面。この時点で「ハイドライドII」の発売日が告知されています。発売当時は先着100名×3機種=300名に「終了認定証」と「ハイドライドTシャツ」を発行していました。PC-8801のFD版が1985年12月上旬で、テープ版が1986年1月以降ということは、テープ版のユーザーはクリアしても認定証をもらえない可能性が。

 

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ベーマガと「チャレンジ!パソコンAVGRPG(1986年)」です。

ベーマガ1986年2月号の「山下章のレスキュー!アドベンチャーゲーム」で、作者の内藤時浩さんから山下章さんへ挑戦状が送られています。記事の見出しは「なんとT&Eから挑戦状が!!」。「どのくらいの期間で解けるのか知りたくなり、今回の挑戦状とあいなった訳です。」と語る内藤さん。

ベーマガ1986年3月号では「ハイドライドII解けたゾォ!内藤氏にインタビュー」と題して、内藤さんへの電話インタビューが載っています。記事内で、内藤さんは山下さんのクリアは17人目だったと明かしています。山下さんがクリアに要した時間は「2週間ちょっと(実質的には20~30時間ぐらいだけど)」。山下さんは仕事として解いたので、終了認定証は申請していないとのこと。

同ページでは内藤時浩さんのプロフィールとして、入社前に作ったゲームがタイトルだけ掲載されています。一つは「ピョンピョンガエル」。これは「月刊I/O」1983年5月号掲載の「 Frog The Lively ピョンピョン・ガエル」です。もう一つは「ウルトラマンJr.」。雑誌のコンテストで入選したらしいのですが、どの雑誌か不明です。これをリメイクして「Newシティヒーロー」としてBEEPから発売されました。いずれもPC-8001用です。

「チャレンジ!パソコンAVGRPG」には「ハイドライドII」の攻略情報がバッチリ載っています。今回、プレイする時に参考にさせて頂きました。

 

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テラ4001 for FM-7(ネタバレ)

前回の続き。

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プロジェクトEGGで配信中の「テラ4001 for FM-7(1984年)」を遊んでみました。同作はスターアーサー伝説3部作の完結編です。ベーマガに長く広告が載っていたので、ご存知の人も多いんじゃないでしょうか。
上の写真は起動時に表示されるスタッフ&タイトル画面です。処理が重くて、1画面更新するのに2秒くらいかかります。

 

以下、内容のネタバレを含みますのでご注意ください。

 

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プレイヤー(スターアーサー)が「ジャミル」という悪の宇宙人から地球を奪い返すというストーリー。シージャという町からスタートです。
今回からRPGっぽい味付けになりました。敵にランダムで出現して襲ってきます。どんどん体力が減りますが、「ネル」で回復します。
画面内のパラメータは次の通りです。

・STRENGTH:プレーヤーの体力。0でゲームオーバー。

・CONCENTRATION:集中力です。敵を倒すと増える。低いとプレイに支障が出る。

・SITUATION:プレーヤーの状況。0になっても問題なし。これって意味ないのでは。

 

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ゴミ箱を開けたらボブが登場。
ここでもう行き詰ってしまいました。簡易マニュアルを読んでも、何をやったらいいのか全くわかりません。結局、「チャレンジ!!パソコンAVG(1985年)」とGoogleに頼りました。

 

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「チャレアベ」を参考にしつつ、マップを書いてみました。これはFM-7版です。PC-6001mkII版はマップが少し違います。

 

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最初にやるべき事はジャンク屋のボスと話すこと。手下に「コルク」と話すと、会えるようになります。
ジャミルヲタオス」とか「ジャミルヲタオシマス」とか言うと、テスが取れるようになります。難しいにも程がある。
あと、外に壊れたハンググライダーが落ちてるので拾います。

 

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ここで「キススル」コマンドを2回実行してから、TALKモードで「ハンググライダー」と入力すると修理してくれます。今だといろいろとダメですね。
この近くに掃除ロボットが居るので、破壊して「キュウバン」を取っておきます。

 

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コルクさん。ここで、壁のパネルにテスをつなぐとポートシティAの機能が停止します。PC-6001mkII版だと、コルクさんは敵のスパイっていうことになっていて、ここで殺さないといけません。昔、プレイした時はショックでした。FM-7版は殺さなくていいです。

 

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「ノボル」コマンドでセンタービルを登ります。結局、ボブは活躍しないで終わってしまった。
センタービルの屋上からハンググライダーで飛びます。ポートシティAの機能を停止させておく必要があります。あと、アイテムが多すぎたり、昼間に飛ぶとゲームオーバーです。ハッキリと原因を教えてくれないので、意地が悪いです。

 

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本作最大の目玉、フライトシミュレータモード。ポートシティAに飛んでいくアクションゲームになります。たぶん元ネタは「ニューヨーク1997」。ビルに衝突したり、着地の場所や角度、速度が悪いと死んでしまいます。

 

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ポートシティAに着いたら、「惑星メフィウス」に登場したアントニオイノシンに再会。アルキンZで体力が回復します。TALKモードで「メフィウス」と話すと、VHD版の宣伝をしてくれます。

 

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ポートシティAのマップです。

 

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検問。ジャミルの市民にレシーバーを売ってお金を作ります。それから、ショップでアクアラングを買います。タンクにアクアラングを付けてから爆破します。爆発したことで、検問から敵兵が居なくなります。

 

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恒例のハマチネタ。ジャミルの市民から「T&E SOFT ノ ハマチベヤ イッパクツアー」というセリフが返ってきます。もしかして、「ハマチ部屋=ハマチの養殖みたく混雑している部屋」って意味なんでしょうか。「ハマチ」の謎が少し解けた気がします。

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ゴンダーに再会。「セラミックディスク」と言うと、セラミックディスクがもらえます。これがないと詰んでしまいます。

 

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宇宙港の受付。もう難所の連続です。レディーロボットにTALKモードで「カセリアサマ レイソード トドケ」と言うと、通ることができます。Cの搭乗口から飛行機に乗ると、海上都市に行けます。

 

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海上都市のマップ。最後なのにマップが狭いような。

 

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敵に遭遇しすぎて、ボロボロの状態です。あとになって気が付きましたが、敵とは真面目に戦わないで、通り抜けが可能でした。この画面、右下の小窓みたいな部分を撃つと、入る事ができます。

 

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入った先にマザーコンピューターの端末があります。スリット(わかりにくい)にセラミックディスクを入れると、レイソードの謎が明らかになります。「ヒネル」コマンドでレイソードの取っ手部分を開けます。ミステリウムを入れて準備完了。

 

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セラミックディスクを取ると、「暗黒星雲」に登場した老人が現れて、マザーコンピューターについて、重要な説明をしてくれます。この終盤に来て、マザーコンピューターの破壊がゲームの目的であると判明します。この後、TALKモードで「シールドカイジョ」と「ドアロックカイジョ」と入力します。まさか、1984年の時点でサイバーパンク要素を取り入れているとは!? 時代を先取りしすぎです。このメッセージを読み飛ばしてゲームを進めてしまうと、もったいないことになります。

 

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マザーコンピューターの手前でルナに遭遇。ルナを殺さないと先に進めません。先ほどの話によると、ルナの意識はマザーコンピューターに取り込まれたので、ルナの肉体を殺しても平気ってことでしょうか。ドアは「オス」コマンドでスイッチを押すと開きます。

 

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レイソードでマザーコンピューターを破壊。ついでに老人とルナの意識も殺してしまいます。非情すぎる展開。

 

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スタート地点に戻ると、カセリアとの一騎討ち。書籍「惑星メフィウスはこうして作られた」を読むと、暗黒星雲のボツ画像の中にカセリアが死んでる場面が載っています。そのボツ画像とここでカセリアが死ぬ画面がそっくりです。もし、前作でカセリアが死んでいたら、本作には別のボスが登場していたんでしょうか。

 

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カセリアを倒したら、脱出艇に乗り込みます。この後、レイソードが爆破するので、事前にレイソードを捨てておきましょう。プロジェクトEGG版の場合、レイソードを捨て忘れたまま乗ると、ゲームオーバーのメッセージ表示が早すぎて読めません。キーの入力待ちが作動してないようです。

 

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海上都市が大爆破。この次の画面でエンディングです。1000年以上続いたジャミルとの戦いがマザーコンピューターを壊しただけで終わってしまいました。1984年当時に遊んでいたら大満足だったと思うのですが、、、。

 

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この「テラ4001」、前作と同じくメインプログラムはBASIC で動いています。TALKモード中にCTRL+Cキーを押したら、プログラムが止まります。そのままだと、Protected Programと出るだけですが、「MON」と「POKE」命令を使うと、リストが見れるようになります。

 

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シージャの町のプログラムの一部。

 

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フライトシミュレータのプログラム(FLYGH)。ゲームの基本部分はマシン語を使ってます。

 

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海上都市のプログラムの一部。本編ではレイソードを捨て忘れた時のメッセージを読めなかったのですが、こうすれば読む事ができます。

 

RPG的要素を取り入れるというチャレンジ精神はさすがT&E SOFT。本作はまぎれもない超大作なのですが、戦闘が単調だったり、マップが空虚だったり、ところどころ残念な部分があって、評価を下げている感じがします。
最大の問題は難しすぎること。ゲーム内にヒントがほとんどない。いくら頑張って考えても正解にたどり着けません。当時のパソコンゲームは難解さを誇り、当時のユーザーはそれをクリアしたことを誇っていました。パソコンゲームが超マニア向けだったという歴史的資料となります。ちなみに、チャレアベによると「テラ4001」は四番目に質問の多いゲームだそうです。

暗黒星雲 for FM-7(ネタバレ)

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プロジェクトEGGで配信中の「暗黒星雲 for FM-7(1983年)」を遊んでみました。ジャンルはアドベンチャーゲーム。本作はスターアーサー伝説シリーズ(全3部作)の2作目です。

 

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暗黒星雲」はその昔、中学生だった頃にPC-6001mkII版をクリアしています。当時、参考にしたのがチャレンジ!!パソコンAVG(1985年)」でした。FM-7版は未プレイなので、買ってみたわけです。

 

以下、内容をネタバレしますのでご注意ください。

 

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ゲームは前作の最後からスタート。すぐにクラプトンII(宇宙船)に乗り込みます。

FM-7版は絵がキレイで、表示が早いです。

その昔、PC-6001mkII版を遊んだ時はあまりにも表示が遅すぎて、バグったのかと思ってしまいました。

 

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高速3-Dルーチンを駆使したリアルタイムスペースファイトシーン」(広告より)。

このアクションゲームのパートは3回くらいあります。

 

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敵機を破壊後、脱出カプセルを回収すると、「ルナ」が仲間に加わります。

最初にすべきことは「右CTRL」を押してカナ入力モードにすること。ローマ字入力できません。

TALKモードで何を打ち込んだらいいのか見当がつかないです。「レイソード」「ミステリウム」「アンコクセイウン」とか打ち込みます。

この後、宇宙船でワープを繰り返すのですが、アルタイル、アンドロメダ、エリダヌス、カシオペア、ケフェウス、ケンタウルスジェミニシリウス、ヒアデス、プレアデス、ベガ、ペガサス、ヘルクレス、ペルセウス、、、と、延々と入力するだけ。どう遊んでいいかよくわからない状態が続きます。

 

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やっと難破船を見つけたので、ドッキング。

「タタク」「ウツ」「ツケル」「ハイル」「シラベル」などのコマンドはファンクションキーに登録されていて便利です。

やるべきことはよくわかっているのですが、空回っている状態が続きます。間違ったコマンドを打ち込むと反応がない。イライラが蓄積します。

ここで、奥の部屋に入れなくて、「ススム」とか「イドウ」とか入力したのですが、どれも反応なし。しばらくして、カーソルキーの「↑」を押すだけだと気が付きました。

廊下に戻るのも「デル」とか「モドル」とか打っていたのですが、カーソルキーの「↓」を押すだけで良かったです。

 

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ロボットの修理に成功したらクラプトンIIに戻るだけです。

なにか重要な情報を喋ってくれるかと思ったら、特にそんなことはありません。

 

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その後、ワープを繰り返すと、別の難破船に遭遇。

こういう3Dグラフィックって、横山英二さんは大好きなんですね。

バーチャルボーイ用の「レッドアラーム(1995年)」は横山英二さんがプロデューサーでした。

 

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このゲーム最大の見せ場、「本邦初!恐怖の4分割画面」(広告より)。

リアルタイムになっているので、入力が遅いとエイリアンに食われて死んでしまいます。

この緊張感が素晴らしいです。

中学生の頃、ここで一旦ゲームを放り出しました。それから、3か月くらい経って、クラスメートが家にやってきて、エイリアンの倒し方を実演してくれました。

 

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船内をマッピング。今回はノーヒントで解く意気込みだったのですが、何をしたらいいのか、わからなくなってしまいました。

ここでギブアップ。

ググったら、正解はクラプトンIIに「モドル」だけでした。

 

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この後、またまた何をしたらいいかわからなくなってしまう。

ワープを何度繰り返しても進展なし。オリオンが怪しいを思って、いろいろ試したのですが、効果なし。

しかたないので、2度目の検索。結果、ジークの行き方が判明しました。

 

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ジークに到着。

ボブがアリ地獄に落ちてしまいますが、超難解コマンドで助けます。「タスケル」「ヒク」「ヒッパル」とか入力してました。

 

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広告でよく見たシーン。宇宙怪獣?ですが、首輪が付いてる。

もう、このあたりからゲームは一本道です。

 

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バリアーが行く手を阻みます。

コマンドを打ち込みまくったら、なんとかなりました。

思い付きの行動が成功すると、アドベンチャーゲームは楽しいです。

 

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「オミャー スターアーサー デ ニャーカ!?」

得意の名古屋ネタです。

この場面、エレベーターの開け方がわからず、検索で解決。

 

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敵に対面。あと2画面で終了です。

結局、クリアまで3回ほどGoogleのお世話になりました。2021年にプレイすると、さすがに不親切と感じる場面が多いです。当時のアドベンチャーゲームはコマンドを入力できるかどうかが全てでした。コマンドがわからないと一生解けません。逆にスラスラ解けたら、まったく面白くない。このさじ加減の難しさ。

あと、ストーリー的な盛り上がりが欠けているような気が。ルナさんの出番がなかったのも不満。

まあ、当時は楽しくプレイしたという事実は揺るがないです。

 

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1985年当時のT&E SOFTのチラシ。当時のアドベンチャーゲームは今のバーチャルリアリティーに匹敵するくらいの衝撃でした。それが伝わりますでしょうか?

 

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自分の場合、アドベンチャーゲームの存在は「こんにちはマイコン2(1983年8月)」で知りました。漫画内では「ミステリーハウス(1982年)」が大々的に取り上げられていて、ドアを開けるコマを読んだだけでワクワクしました。「こんにちはマイコン2」では「アドベンチャー・ゲームはプログラムの量が多いため、フロッピーディスクで売られているものが多い。」と紹介されていました。実際、アドベンチャーゲームはディスク版が多く、一般人には手が出ない超高級なジャンルという印象でした。

そうした中、ハードルを下げてくれたのが、カセットテープ版のアドベンチャーゲームです。「ポートピア連続殺人事件(1983年6月)」「デゼニランド(1983年9月)」「惑星メフィウス(1983年7月)」などが、ほぼ同時期に発売されました。容量不足をカセットテープの分割ロードで補うという、力業です。

惑星メフィウス」はお買い得感(テープ3本組)と超大作っぽさが手伝って大ヒット。最終的には、PC-88版、FM-7版、X1版、PC-6001mkII版、MZ-1500版、MSX版、S1版、VHD版が発売されました。

約半年後に2作目「暗黒星雲(1983年)」が発売されます。FM-7のディスク版は1984年2月発売です。

それから約1年後、3作目「テラ4001(1984年)」が発売。システムを大幅に見直した意欲作でしたが、対応機種はFM-7版とPC-6001mkII/6601版だけでした。シリーズを最後まで遊べなかったプレイヤーも多かったんじゃないでしょうか。

1986年付近からフロッピーディスクが普及し始めて、カセットテープの作品が時代遅れになってしまいます。さらにアドベンチャーゲームのシステムが改良されていきます。スターアーサー伝説シリーズと同社の「サイオブレード(1988年)」を見比べてみると、ゲームの進化の激しさがわかると思います。

 

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当時の雑誌から、T&E SOFTの人気ぶりがうかがえます。

雑誌「ログイン」1983年11月号では「スターゲームデザイナー登場!」のコーナーで横山俊朗さんと横山英二さんのインタビューが紹介されています。この時点でスターアーサー伝説が3部作であることが明かされています。記事中で「PC-6001ではいろいろソフト作ってマイコン雑誌に投稿して、ときどき掲載されたりしたんですよ」と語る、横山英二さん。

ここでいう「マイコン雑誌」というのは、工学社の「月刊I/O」のことです。「I/OがT&E SOFTを育てた」と言っても過言ではありません。

 

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「I/O」1982年5月号のコムパックの広告に「T&E SOFT」の名前があります。経営担当が兄の横山俊朗さん、開発担当が弟の横山英二さん。二人合わせて「T&E」です。コムパックは工学社グループのソフト流通の会社です。デービーソフトやテクノソフトやキャリーラボもコムパックで販売していました。

この翌月、「I/O」1982年6月号で「リアルゴルフゲーム」のプログラムリストが公開されています。記事中で横山英二さんが次のようにコメントしています。

今後、T&E SOFTではPC-6001の機能をフルに生かした制作ゲーム・ソフトを月に1~2本のペースでコムパックから発売していきますのでよろしくお願いします。

有言実行。T&E SOFTのゲームが続々と発売されます。これに連動して、「I/O」にプログラムリストが載り続けます。

・I/O 1982年6月号「リアルゴルフゲーム(PC-6001用)」

・I/O 1982年7月号「3-Dアステロイドファイヤー(PC-6001用)」

・I/O 1982年8月号「ミサイルファントム(PC-6001用)」

・I/O 1982年9月号「タワーパニック(PC-6001用)」

・I/O 1982年10月号「マリンシューター(PC-6001用)」

・I/O 1982年12月号「ピラミッドPC-6001用)」

・I/O 1983年4月号「3-DゴルフシミュレーションFM-7用)」

、、、もう「ときどき掲載」というレベルじゃありません。市販のゲームが、雑誌でソースコードまで載せてしまっているのが興味深いです。捨て身の戦略でしょうか。

ゴルフゲームが2本もあります。このゴルフ好きがのちの「遙かなるオーガスタ(1989年)」「T&E ヴァーチャルゴルフ(1995年)」につながっている気がします。俊朗さん・英二さん、どちらの趣味なのか。

「I/O」 1983年1月号には表2(表紙の裏側)というお金がかかるページにT&E SOFTの広告を載せています。「ピラミッド」までの全作品に加えて、「T&Eスペシャル(CASIO FP-1100用)」というゲームが載っています。

さらに、「I/O」 1983年4月号(3月売り)のT&E SOFTの広告で「求人のお知らせ」を掲載。推測ですが、それまでは開発担当は横山英二さん一人だったんじゃないでしょうか。メンバーを集めて、この4か月後には「惑星メフィウス」を発売してしまうのが凄いところ。

T&E SOFTの勝負強さを感じます。

 

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ついでに紹介。

T&E SOFTといえば、謎のキーワード「ハマチ」です。

ロボットを修理後、TALKモードで「ハマチ」と打ち込むと「ハマチトハ ブリ ノ ムスコデアル」という返事があります。意味はわかりません。

 

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「スターアーサー伝説 惑星メフィウスはこうして作られた(1984年6月)」より。

ここで「はまちの生活」というフレーズがあります。意味不明ですが。

コメントしてるのが吉川泰生さんという方です。吉川さんはPlayStation用の超大作ゲーム「ソナタ(1999年)」の企画・プロデュースを担当していて、Windows版「ハイドライド1・2・3」の「ハイドライドミュージアム」にも登場します。T&E SOFTにおけるキーパーソンの一人だと思います。

この写真の右側に載っている「天才少年加藤くん」も「ハイドライドミュージアム」にも登場するキーパーソンです。

 

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ハイドライドII(1985年)」より。

農民と会話をすると、たまに「はまち!!」と答えます。

、、、やっぱり意味不明です。

 

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DAIVA(1987年)」のマニュアルの最終ページ。T&Eの社長、横山俊朗さんによる開発後記より。DAIVAの発売が遅れた経緯が書かれているのですが、詳しくは実物をご覧ください。

ここで「ハマチ状態」という発言がありますが、結局、何なのかわかりませんでした。

誰か意味を知っている人がいたら教えてください。

 

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最後にオマケ的な情報。

この「暗黒星雲」ですが、メインプログラムはBASICで動いています。昔のゲームでは、よくあることでした。

TALKモードでCtrl+Cキーを押すと、プログラムが止まります。これはディスク版ですね。

そのまま「LIST」コマンドを実行すると、「Protected Program」と出ます。プログラムを見ることはできません。

 

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しかし、「MON」命令と「POKE」命令をうまく使うと、LISTコマンドが有効になります。

こんな感じでBASICのプログラムを見ることができてしまいます。超難解コマンドもバレバレです。

これを読めば、プログラムの勉強になるかも。

 

nicotakuya.hatenablog.com

日経ソフトウエア2022年1月号

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11月24日発売の雑誌「日経ソフトウエア2022年1月号」で2つ記事を書かせて頂きました。

・特集記事「PCエンジンで動くゲームを作ろう 第1部」。

・連載「IoT時代の電子工作 第3回目」。

 

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▲「PCエンジンで動くゲームを作ろう」ではPCエンジン用のプログラムの作り方を紹介します。今回は第一部。何回かに分けて紹介します。最終的には実機で動かすところまでやる予定です。

 

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▲「PCエンジンで動くゲームを作ろう」で作成したスプライトを動かすプログラム。PCエンジンエミュレータで実行しています。

 

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▲「IoT時代の電子工作」では二酸化炭素の濃度を測定しました。UARTの通信でオリジナルの関数を使っているのが見どころです。

ザ・スキーム for PC-8801

プロジェクトEGGで配信中の「ザ・スキーム for PC-8801(1988年)」を遊んでみました。

「ザ・スキーム」の楽曲担当は古代祐三さんです。聞くと気持ちが良くなる楽曲でパソコンゲームファンを魅了しました。高度なテクニックが使われていることは理解できますが、気持ちが良くなる原理は謎です。この後、古代さんは「ザ・スーパー忍」や「アクトレイザー」でコンシューマでもブレイクします。

 

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ダイジェストで紹介します。これは序盤の状態。

独特のプレイ感。プレイヤーのジャンプが等速で動きます。横方向に細かく動けるのは凄いのですが、遅い。

 

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ボス、fa-faを倒して迷路の入り口に到着。

 

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ボス、bosetecを倒して、ユニコーンのゲートをアンロックした状態。

メトロイドをリスペクトしてますね。

 

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blue dragonというボス。

最初はピクリとも動きませんが、あとで動くようになります。

 

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ボスのgorgon。間違えて左側に立ってしまいました。

このまま勝てるのかと思ったら、攻撃が当たらない。ボスはこっちを向いてくれません。

 

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こういう届かない足場が4か所くらいあります。

POWER BOOTSを取るまでは引き返します。

 

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放物線の弾を撃つ敵。こっちは反撃できないのでイライラ。

 

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突然の落とし穴。やはりメトロイドを目指してたのかなという気がします。

 

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やる気のない敵、Spliter。おかしいと思ったら仕掛けが。

このあたりから位置がわからなくなってしまって、マッピングを始めました。

 

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このゲーム、惜しいところがあります。足場から上に移動するだけの操作がすごく難しい。たとえば、このような場合、矢印の方向にジャンプすると、高確率で次の画面の足場に頭を激突させて、下に落ちます。

良くないのは、画面切り替えで敵が復活するところ。垂直にジャンプして様子を見ようとすると、足元に敵が復活します。ブチギレ必至。

 

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通過できる壁のトリック。

この先に「無限大」のアイテムがあって、無限回廊で使います。

アイテムは「L」を取ると攻撃力アップ。「E」で体力の上限が増えます。

FORCE SHOOT→WAVE→HYPER FORCEを取ると攻撃方法が変化します。

 

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この場合、黙って撃たれるしかありません。なにか良い方法があるのでしょうか。

 

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このへんまでくると、敵の攻撃がさらに理不尽に。

固いので、撃たれるしかない。強引に突破します。

 

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ここで体力補給。

この先にPOWER BOOTSがあります。

 

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ラスボスから2つ前のボス、Nerve。

POWER BOOTSを使えば、ここに来れます。

 

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最後のゲートをアンロック。

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ラスボス一つ前のボス、Xaveller。

敵はダメージを受けてるのか、よくわからない。

 

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ループに気づかず、一時間近く悩んで脱出。

 

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ラスボス登場。

処理が重たくて、操作しにくい。どうやっても避けようがない弾幕

いくら撃ってもボスが死にません。どうなってるの?!

 

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40回くらい死んで、ギブアップ。無力感と虚無感に打ちのめされる。もっと体力を上げないとダメか。

今回、プレイした目的はスタッフクレジットを見ることだったのですが、説明書に載っているので、それでいいやという気もします。プログラマ3人のうち、一人が古代さんなので、サウンドドライバも担当されているのかなと思います。

 

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苦心のマッピング。ところどころアバウトです。

これを描いたあとに、「チャレンジ!パソコンAVR&RPG IV(1988年)」にマップが載ってることに気がつきました。

 

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「ザ・スキーム」はONION softwareが開発しています。起動すると、「ONION SOFT」の名前を確認できます。

 

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ONION softwareの歴史は長いです。上の画面はフリーで公開している「オニオンハウス(1983年)」というPC-6001用ゲーム。ちょっとの接触でGAMEOVERになるという超難ゲーです。これを作ったのが、おにたまさんです。

「ザ・スキーム」ではおにたまさんは「システムアドバイス:ONION」とクレジットされてます。「ONION」名義。プログラム担当は別の方でした。

 

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ONION softwareと古代さんの関係も長いです。

プロジェクトEGGで配信している「ワンダラーズ・フロム・スーパースキーム(1989年)」にも古代さんは楽曲を提供しています。

他にも同人ソフトの「100円ディスク7」でも「SUPPORT」役として、お名前を確認することができます。

 

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ONION softwareと古代さんとの関係は今も続いています。

HSP(おにたまさん作)の最新バージョン3.6には古代さんの「Mucom88」の移植版が搭載されています。サンプルに古代さんの楽曲まで入っているという気前の良さ。

 

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古代さんの伝説は1985年の末頃、自作のプログラムをベーマガ編集部に持ち込んだところからスタートします。作品はPC-8801mkII SR用の曲。おそらく、ベーマガ1985年11月号で募集した「ナムコサウンドプログラム」向けだと思います。

ベーマガ1986年4月号から「YK-2」名義で「ザ・ビデオゲーム・ミュージックコレクション」を連載。本誌には楽曲のプログラムを掲載。さらに有名作品の楽譜を掲載したり、メーカーは寛大でした。

当初、担当者は一人だけでしたが、DenIIさん(1987年3月号で引退)、Yu-You(永田英哉)さん、GORRYさん、川野俊充さんなど、続々追加されます。

その後、古代さんは日本ファルコムで楽曲作りを担当。「ザナドゥ シナリオII(1986年)」でデビュー。1987年付近は、ベーマガの連載、ファルコム関連の作曲、コミケ活動が並行しています。YK-2さんは1987年11月号を最後に「ザ・ビデオゲーム・ミュージックコレクション」からバッタリと姿を消します。1988年3月号の「パロディウス」でゲームライターとして出てきたりしますが。

ベーマガ1987年12月号のくりひろしさんの漫画で、YK-2さんが「仮面ライダーブラック」に似てると発言。闘技場のネタに発展します。

1988年1月号から「ゲーム・ミュージック新譜試聴室」が連載開始。活字で音楽を語るという、書く側には恐ろしく難易度が高いコーナーです。連載1~2回目の担当は山下章さんでした。

1988年3月号の「レスキュー!! AVGRPG」では過労で倒れた山下さんの代わりに幸運私真矢さんが担当を務めます。病床?で書いた山下さんのハガキが紹介されます。

同じ流れで、「新譜試聴室」も5月号から幸運私真矢さんに交替します。実は「山下章さん=幸運私真矢さん」なのですが、当時、これを見破れた人は居ませんでした。

 

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ベーマガ1990年2月号で「第1回 日本ゲーム・ミュージック大賞」の投票を受け付けました。読者ハガキが投票券です。

その翌月のベーマガ1990年3月号で投票結果を掲載。、、、いくらなんでも無茶なスケジュール。投票の期間は約13日(1990年1月8日頃~20日)でしたが、5624通も集まりました。

このうち576票を獲得して、「ザ・スキーム/古代祐三」が大賞を受賞。ゲームと音楽が分離した。というか、ゲームとアーティストが同列になった、象徴的な作品となりました。

 

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山下章さんの「ホンキでPlayホンネでReview」のゲーム・ミュージック回も1990年3月号です。大賞の内容も含まれていますので、超人的な速度で書かれています。この記事の中で「古代祐三さん=YK-2さん」であることを短く紹介しています。この事実は今だと誰でも知っていますが、ずっと秘密でした。

いつ頃、秘密が明かされたのか。知っていたら教えてください。

たとえば、「チャレンジ!パソコンAVR&RPG IV(1988年)」に「ザ・スキーム」の楽譜が掲載されているのですが、古代さんによる「master of the shooting」のコメントは次のように書かれています。

この曲のタイトルは、コミケソフト「シューティングマスター'86」をパロっているんです。あのゲームにはボク(YK-2)も登場するんですよねー。

、、、これをちゃんと読んでいれば1988年10月の時点で「古代祐三=YK-2」だと悟ることができたのかもしれません。誤植かと思いそうですが。他にもこういうカミングアウトがどこかにあるのかもしれません。しかし、当時のYK-2さんの連載を読んでも、ファルコムのファの字も出てきません。あと、「シューティングマスター'86」がどんな画面なのか全くわかりません。

(2021/11/20追記。こちらに詳細が。)100YEN DISK MUSEUM

 

かすかな情報なら、1987年6月号掲載の山下さんの「フリートーク・ボード」で見つけることができます。海外旅行でのYK-2大損事件という話の中で次の記述があります。

「この曲はいーす!」 と叫んでその場で楽譜を作っちゃうあたり、王者の風絡を感じさせてくれるぜ!

これはYK-2とイースという内輪ネタだと思います。当時は誰も気付きません。この号ではファルコムの広告内で「イース」の存在が初めて明かされました。

 

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古代祐三さんの名前はいつごろから知られるようになったのか。いち早く紹介したのは、やはり山下さんです。「チャレンジ!パソコンAVR&RPG III(1987年)」の「イース」の記事で、次のように書かれています。

ここで決して見逃してはならないのが「イース」のミュージックコンポーザー、古代祐三君の手腕だ。

それから、1年後。「チャレンジ!パソコンAVR&RPG IV(1988年)」では「ザ・スキーム」について、山下さんが次のように書かれています。

ボクがココで100%断言してしまおう。この『スキーム』のサウンドボードII版こそ、パソコンゲーム史上ナンバー1のミュージックだ!!

これ以上にない絶賛。「ザ・スキーム」は今だに語られる出来なので、身内だから誉めておこうとか、そういうレベルの話ではないと思います。

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