「ハイドライドII for PC-8801(1985年)」を遊んでみました。
本作は大ヒットしたARPG「ハイドライド」の続編です。マップは前作の6倍。魔法(全14種類)、アイテムの売買、ランプのオイル、会話モードなどなど、新機能が大量に追加されています。
今現在、「ハイドライドII」を遊ぶには、プロジェクトEGGの「ハイドライドII for PC-8801」、または「ハイドライド1・2・3」を入手するのがいいと思います。自分の場合は「蘇るPC-8801伝説永久保存版(2006年)」のCD-ROMに収録されている「ハイドライドII」で遊んでみました。これはプロジェクトEGGのPC-8801版と同等だと思います。
「ハイドライドII」の最大の特徴は超々難解ゲームであること。プレイヤーに優しくなくても良かった時代のRPGです。当時は先着で終了認定証がもらえるというシステムだったので、クリアに時間がかかる必要性がありました。そのため、謎が非常に理不尽です。
以下、ネタバレです。
まずはグールを延々と殺して、プレイヤーのレベルを上げます。単純作業で神経がすり減ります。レベルアップすると体力だけ上がります。
STRは寺院のミニゲームで上げます。このミニゲームは曲者で、納得がいかないまま負けてしまいます。今回はステートセーブでズルしました。
「FORTH(FORCEの誤植?)」は「心」というパラメータで、これが低いと住人に相手にされなくなってしまいます。善玉のキャラを殺すと、FORTHが下がってしまいます。敵キャラにたまに善玉が混ざっています。
墓石を壊すと、砂漠に町が出ます。なお、グールと話すと、たまに「HYDLIDE2はPC88、X1、FM-7ではつばいちゅう!」と答えます。
鍵を使って、塔に侵入。ランプをいちいち点けたり消したりが面倒くさい。ランプのオイルが減っていくのが緊張感があります。
「SEARCH」の魔法で、怪しい部分を捜す。これが面倒です。このゲームは宝箱やトラップや階段が画面に描画されません。
塔の5階で最強の剣(LASER-SWORD)を入手。ですが、一向にプレイヤーが強くなった気がしない。どんなに弱い敵でも4回くらい攻撃する必要があります。プレイヤーも1回では死にません。この部分のアルゴリズムが謎です。
岩を破壊すると、ダンジョンが現れます。この中で「HONEST」というキーワードを知ることができます。
橋から水路を泳いで、もう一つのダンジョンに進入します。
ここでボス的なキャラを倒すと、GREEN CRYSTALを入手できます。クリスタルの効果についてはお坊さん(BONZE)がヒントを出してくれます。
砂漠の町。MAGICは魔法屋でお金を払うだけで上がります。
左下の場所でキーボードから「HONEST」と入力してから、右側の水たまりに飛び込むと、地下帝国に入れます。入る時に毒を食らうのが意地が悪い。
地下帝国からは難易度がケタ違いに上がります。敵に全く太刀打ちできません。泳ぐだけで体力が減りますし、安全地帯がどこにもありません。理不尽なトラップも多いです。
瀕死の状態で、地下3階でYELLOW CRYSTALを入手しました。
このナメクジ(SLUG)が出す魔法は回避不能。これはイライラする。
レベルを上げるため、クラーケンを倒します。ものすごい手間と時間がかかるので、無心でやるしかありません。貯まったお金でSTRとMAGICを上げます。盾と鎧も新調します。ちなみに弱い敵を倒してもEXPは全く上がりません。
地下1階で妖精が出現。最下層に移動するために必要となります。
FIREの魔法で敵を倒して、その場所に行くと、RED CRYSTALが手に入ります。
BLUE CRYSTALを入手。これを取ると、敵と正面衝突しても負けなくなります。もう終盤ですが。
取る順番が通常と違いますが、地下3階でPURPLE CRYSTALを入手。
クリスタルが5つ揃いました。この時点でレベル17です。
地下4階にある階段。妖精が見つけてくれます。
5つのクリスタルを石像にはめると、「神」を自称するラスボス(EVIL CRYSTAL)が登場。もうバラリスはザコ扱いです。MYSTIC DRUGを飲んでラスボスに攻撃。この薬を飲むとプレイヤーが幽霊のようになる、、、ってことみたいです。いまひとつ攻撃が当たっているのかわかりにくいです。
よくわからないうちにラスボスが死んで、画面に「CONGRATULATIONS!」の文字が表示されます。自分にとっては幻のゲームだった「ハイドライドII」が遂に終わってしまいました。この後、スタッフクレジットが出て、最後にパスワードが表示されます。
この「ハイドライドII」は間違いなく超大作ですが、無茶なゲームバランスで実に惜しい出来。ノーヒントだとクリア不可能な謎の連続で、楽しいと思う以前にストレスが溜まってしまいます。ですが、ゼルダもドラクエも無かった時代にこれを作ったというのは、大変な偉業です。先進性に全振りしたT&E SOFTらしい作品だと思います。
ついでに、「ATTACK'86 in 秋葉原(1985年)」というイベントでもらったチラシを紹介します。表面に謎のポエムが書いてあります。イベントの告知はベーマガ1985年11月号の広告に掲載。発売前にハイドライドIIが遊べるということで、会場にはファンが殺到しました。
チラシの裏面。この時点で「ハイドライドII」の発売日が告知されています。発売当時は先着100名×3機種=300名に「終了認定証」と「ハイドライドTシャツ」を発行していました。PC-8801のFD版が1985年12月上旬で、テープ版が1986年1月以降ということは、テープ版のユーザーはクリアしても認定証をもらえない可能性が。
ベーマガと「チャレンジ!パソコンAVG&RPG(1986年)」です。
ベーマガ1986年2月号の「山下章のレスキュー!アドベンチャーゲーム」で、作者の内藤時浩さんから山下章さんへ挑戦状が送られています。記事の見出しは「なんとT&Eから挑戦状が!!」。「どのくらいの期間で解けるのか知りたくなり、今回の挑戦状とあいなった訳です。」と語る内藤さん。
ベーマガ1986年3月号では「ハイドライドII解けたゾォ!内藤氏にインタビュー」と題して、内藤さんへの電話インタビューが載っています。記事内で、内藤さんは山下さんのクリアは17人目だったと明かしています。山下さんがクリアに要した時間は「2週間ちょっと(実質的には20~30時間ぐらいだけど)」。山下さんは仕事として解いたので、終了認定証は申請していないとのこと。
同ページでは内藤時浩さんのプロフィールとして、入社前に作ったゲームがタイトルだけ掲載されています。一つは「ピョンピョンガエル」。これは「月刊I/O」1983年5月号掲載の「 Frog The Lively ピョンピョン・ガエル」です。もう一つは「ウルトラマンJr.」。アスキーのコンテストで6位入選(88伝説の対談より)。これをリメイクして「Newシティヒーロー」としてBEEPから発売されました。いずれもPC-8001用です。
「チャレンジ!パソコンAVG&RPG」には「ハイドライドII」の攻略情報がバッチリ載っています。今回、プレイする時に参考にさせて頂きました。