Ys III for PC-8801(ネタバレ)

プロジェクトEGGで配信している「ワンダラーズ フロム イースイース3)」を遊んでみました。これは「イース大全集」に収録されているPC-8801mkII SR版です。

個人的なことを言うと、「イース3」をプレイするのは今回が初めてです。当時、「イース3」は愛機だったX1turboで発売されず、今までずっと気持ちが遠ざかってました。

オープニングでは背景が多重スクロールしながら、タイトルが浮かび上がります。PC88のハードの限界をとっくに超えてしまっている感じです。果たして、この処理がX1turboでできただろうか。

 

以下、ネタバレなのでご注意ください。

 

序盤の採石場

サイドビューを採用しています。プロジェクトEGGの「ファルコムミュージアム」のイース特設ページによると、本作は「あまりにも大胆な仕様変更だったために、マニアの間では賛否両論を巻き起こした」とのこと。

https://www.amusement-center.com/project/falcom/special/ys/

 

今回、苦労したのが、2番目のボス。接近しすぎると雷が落ちるので、ヒットアンドアウェイを繰り返します。ジャンプ長押ししながら、切り付けるという操作に慣れないといけません。

 

レベルが低いまま2番目のボスに来てしまった場合、引き返さないといけないのですが、ここが登りにくい。

 

蹴とばされて、溶岩地帯に落とされる。大ピンチ。

 

ボスの龍と戦ってます。

 

神出鬼没のヒロイン。

前作と比べて、キャラの芝居とテキストの量が倍増しています。ストーリーはツッコミどころ満載ですが、1989年のゲームなので、大目に見ないといけません。

 

今回のゲームの目的は彫像集めです。

「落日の彫像」「星月の彫像」「白光の彫像」「暗黒の彫像」が存在します。


ここのグラフィックが特に素晴らしいです。PC-8801用ゲームの中で最高峰の表現力だと思います。

 

ラスボスとの戦い。

動きが激しすぎて、見分けるのが難しいですが、ジャンプ切りで攻撃。

何度か死んで倒すことができました。

 

エンディング。

「SEE YOU AGAIN」じゃなくて「GOOD BYE」。これで辞めてしまったスタッフも居るとかなんとか。

徹底的に親切に作られています。ストレスフリーで、あっという間に終わってしまいました。謎解きに困らず、お金にも困らず、レベル上げにも困りません。「ゼリアード」とは対照的。

 

ベーマガ1989年7月号より。

イース3」の広告が初掲載。ここで判明するのは「ワンダラーズ フロム イース」というタイトルだけ。

かすかな風が吹いていた。小さな木の葉をふるわす音だけが、彼の耳をくすぐり、通り過ぎていった。彼の名は、、アドル……。

という謎のポエム。

 

ベーマガ1989年8月号より。

見開き2ページの大広告。ページ隅に「イースIII」の文字があります。発売日はPC-8801版が1989年7月21日。PC-9801版が1989年7月28日。この後、数多くのコンシューマ機に移植されました。

ベーマガ1989年9月号には3ページの記事を掲載。ゲーム中盤まで紹介しています。

 

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リバイバル ザナドゥII for PC-9801(ネタバレ)

プロジェクトEGGで配信中の「リバイバルザナドゥII for PC-9801」を遊んでみました。前作「リバイバルザナドゥ」が1995年4月28日に発売。12月8日にはマップやモンスターを差し替えた「リバイバルザナドゥII」が発売されました。本作はところどころに「ザナドゥ シナリオII(1986年)」のリスペクトを感じますが、別物です。LadderとかSilver-Roseは登場しません。

プロジェクトEGGではこの他にも低難易度の「リバイバルザナドゥ Easy Ver」も配信しています。「~II」と「~Easy Ver」は当時、「リバイバルザナドゥ2リミックス」という1つのパッケージとして売られていました。「~II」のEasy Verは存在しません。

 

内容をダイジェストで紹介します。ネタバレしますのでご注意ください。

LEVEL1。

スタート地点からいきなりトゲトゲ地帯。この場合、テンキーの「8」→「9」を押して、2段ジャンプします。操作感やシステムは旧作のままです。

1面からマップが複雑です。自分の場合は攻略サイトの「Xanadu Laboratory」を参考にさせて頂きました。

http://xanalabo.sakura.ne.jp/index.html

プレイのコツは、Deamons RingかHourGrassでタワー内をゴリ押しすること。ボスと遭遇すると強制的にデータがセーブされてしまうのが怖いところ。

 

魔法の仕様が旧作と変わってます。

旧作だと、魔法が壁を通過したのですが、リバイバルでは魔法が壁で止まってしまいます。壁越しに敵を攻撃するというテクニックが使えません。

 

少しだけ前作のグラフィックの使いまわしがありますが、パラメータは全部更新されています。弱いと思ったキャラが実は強かったというのもお約束です。

 

LEVEL1に登場する新ボス。当然ながら、レベルを上げないと倒せません。

 

LEVEL2に進んだあたりで、「Can not read data」と表示されてフリーズしてしまいました。ステートセーブ機能を使うとバグってしまうようです。自分の場合はユーザーディスクが壊れてしまって、キャラ作成からやり直し。以後、ステートセーブを使わずにプレイしました。本作はXANACOPYに相当する機能がないので、後戻りができません。

 

LEVEL3。

最初のカルマキャラ。ニードルを飛ばすので、熟練度を上げるのに重宝します。画面の点滅が激しすぎる。

 

LEVEL2。

ボスを倒して、1つ目のクラウンを入手。Black OnyxとMantleが置いてあって、親切です。

クラウンはLEVEL4と7と9にも隠されています。

 

LEVEL4。

伝統のパチンコ面です。

 

LEVEL5。

タワー内部がつながっているので、それを応用して移動します。

 

お金が貯まったら、Bottleを服用してDeathを購入。この店員さんがカッコいい。

 

LEVEL7。

Buzzatiというボス。元々はシナリオIIに登場してました。Deathで倒しました。

 

LEVEL8。

一作目ザナドゥのLEVEL9のマップになっています。大量にKEYを消費します。

 

LEVEL9。

ここに4つ目のクラウンがあります。Winged-Bootsで移動。

 

LEVEL10。

何度かワープして、ドラゴンスレイヤーが隠されているタワーに到着。クラウンが4個ないと中に入れません。

 

LEVEL10

これはカルマキャラ。タワー内ではかなり邪魔な存在。

 

LEVEL10。

念願のドラゴンスレイヤーを入手。キングドラゴンと戦うまでに熟練度を上げる必要があります。Mantleを使わないといけませんが、Vorpal-Weaponもこのタワーにあります。

 

LEVEL9に戻ります。キングドラゴンは白い点の場所。CTRL+Mでマップ表示できます。

 

LEVEL9。

キングドラゴンとの戦い。攻略方法は旧作と同じ。炎に触れたら一発アウトという仕様も同じです。

倒したら即、エンディングです。

 

クリア直前のパラメータはこんな感じです。

重要アイテムが大量に余りました。

ザナドゥというと「詰む」ゲームですが、本作はそうならないための配慮が行き届いています。「シナリオII」のような理不尽さがありません。プレイ中は全く気が休まらないのですが、終わってみると、非常に親切なゲームだったという印象です。

 

ベーマガ1995年4月号より。

リバイバルザナドゥ」の広告です。広告内の商品説明は以下の通り。

オリジナルの雰囲気は残しつつ、キャラクター、マップ、ビジュアルすべてを400ライン、アナログ16色で描き直し、BGMはステレオ音源に完全対応、フィールド毎にBGMが追加。曲数も20曲以上に。

対応機種はPC-9801VM/UVなど。メディアはフロッピーディスク(のちにCD-ROM版も発売)。ザナドゥビジュアルコレクションというフォトCDが同梱されていました。

この他、4月号では「リバイバルザナドゥ」発売を速報として紹介。広告は5月号にも掲載されています。

 

ベーマガ1995年5月号より。

2ページの紹介記事を掲載。開発途中なので、画面が製品版と違います。元々は、フォントから画面のレイアウトまで旧作と同じだったようです。

ベーマガ1995年10月号では「今後ロングランになりそうな2作品」の1つとして、「リバイバルザナドゥ」が半ページ紹介されています。

 

(2022/08/23追記)

ベーマガでは熱心に「リバイバルザナドゥ2」の攻略記事を掲載していました。

ベーマガ1996年1月号に「リバイバルザナドゥ2リミックス」を紹介。カラー1ページ。本作の広告は半ページくらいのサイズ。News Expressの紹介文は5行くらいです。

ベーマガ1996年2月号にLEVEL1~3のマップ公開。カラー4ページ。

ベーマガ1996年3月号にLEVEL4~6のマップ公開。カラー4ページ。

ベーマガ1996年4月号にLEVEL7~10のマップ公開。モノクロ5ページ。

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ハイドライド for X1(半キャラずらしの確認)

プロジェクトEGGの20周年キャンペーンで「ハイドライド for X1(1985年)」が無料配信してるので、遊んでみました(2022年8月23日まで)。

その昔、TAKERUで売っていたという「異次元バージョン」は有料で配信中です。

 

X1版の存在は以前から聞いていましたが、遊ぶのは今回が初めてです。画面切り替えじゃなくて、スクロールするのは新鮮です。敵が一杯出てきて、妙にスピードが速いです。無印のX1でもこの速度なんでしょうか。ちょっと速すぎる気がしますが。

 

他の機種で何度もハイドライドをクリアしているのですが、2体目の妖精と、お城に入る方法で詰まってしまって、ググりました。

あとは、すんなりとクリアできました。レベルが簡単に上がってしまいます。ドラゴンが出なかったり、バラリスが棒立ちだったり、あっさり風味です。

ハイドライドII」みたくランプのオイル切れとか、お金とか気にしなくていいので、ラクです。ウィスプをかわして剣を拾いに行くところが、大変でした。プレイヤーが通路で引っかかるだけで、こんなにもストレスが溜まるのか。

 

せっかくなので、「半キャラずらし」の効果について確認してみました。半キャラずらしとは、キャラが半分ズレた状態で敵と戦う方法のことです。

 

戦闘の結果はプレイヤーの強さによって変わってしまいます。まずはプレイヤーがLEVEL6でレディーアーマーと正面衝突した場合です。

結果はランダムで3パターン。3回のうち1回はノーダメージで勝つことができました。完全勝利の確率は約33%ということになります。

 

一方、半キャラずらしを使い、LEVEL6でレディーアーマーと戦った場合、確実にノーダメージで勝つことができます。完全勝利の確率が約33%→100%に跳ね上がりました。効果はばつぐんです。

なお、LEVEL6だとレディアーマーに勝ってもEXP(経験値)は増えません。メリットは負けないというだけです。迷路内で安全に体力を戻したいという時に役立つと思います。

半キャラずらしは万能ではありません。LEVEL3で半キャラずらしで戦った場合、必ず最初の2回はヒットとして、その次にダメージを食らいます。完全勝利の確率は0%です。

つまり、半キャラずらしは打撃2回分で決着する相手にだけ有効ということになります。

 

ここまでは自力で調べたのですが、ふと「チャレンジ!!パソコンアドベンチャーゲーム(1985年)」に載ってそうな予感がして、読み直してみました。

案の定ありました。

174ページ目。しっかり、2回以内で倒すことの注意書きまで載ってます。1985年の時点でここまで解明しているのは、やはり流石です。

 

(2022/08/10追記)「イース(1987年)」の半キャラずらしも確認してみました。半キャラで衝突した場合、プレイヤー側は常にノーダメージです。この仕様がハイドライドと違います。攻撃後、敵が吹っ飛びますので、連続で当てるには前進する必要があります。ハイドライドは敵が吹っ飛びません。混同しないように「ハイドライドの半キャラずらし」「イースの半キャラずらし」と言ったほうがいいでしょうか。

 

「シルフィード for PC-8801」一応クリアしました

プロジェクトEGGで「シルフィード」を購入しました。価格は440円+会費550円/月。

 

今まで「シルフィード」は「蘇るPC-9801伝説(2004年)」の付録版を遊んでいたのですが、AREA10より先に進めませんでした。自分がヘタなだけですが。

特に手こずっていたのは、AREA10の最初のボス。レーザーが反射されて、こっちがダメージを受けてしまいます。AREA 1から、ここに到達するまで30分くらいかかるのですが、ここで死んだら、AREA 1からやり直しです。セーブもコンティニューもありません。

 

左が「蘇るPC-9801伝説」の付録版。右がプロジェクトEGG版です。

プロジェクトEGG版は付録版と違って、自由にステートセーブが可能。この機能を使ったところ、あっさり全20面をクリアできてしまいました。クリアできて嬉しいですが、今までの苦労は一体何だったんだ?となってしまいます。そのうち完全に自力で解きたいです。

なお、レーザーを反射するボスは、被弾覚悟で内部に入ってしまえば、なんとか勝てるということに気が付きました。

 

登場キャラをまとめてみました。名前は説明書で照合しました。説明書に載っていないキャラの名前は不明です。

説明書によると、ゴランは「偽装カプセル」。隕石に偽装しているという意味だと思います。

「GERDI」の正しい発音が不明です。「ガーディ」でしょうか?

 

シルフィードの攻略方法を手短に紹介。

各面の特徴は以下の通りです。カッコはオススメの武器です。[W]は武器のパワーアップアイテムという意味です。

・AREA 01:宇宙空間。ボス=OLLEYUS。(FORWARD+FORWARD)[W]出現
・AREA 02:宇宙空間。ボス=ROBAYON。(FORWARD+FORWARD)
・AREA 03:惑星上空。ボス=OLLEYUS。(FORWARD+PHALANX)
・AREA 04:要塞内部。ボス=GERDI。(FORWARD+FORWARD)
・AREA 05:宇宙空間。ボス=ROBAYON。(LASER+FORWARD)
(DEMO)
・AREA 06:小惑星帯。ボス=ROBAYON。(LASER+FORWARD or V+V)
・AREA 07:要塞内部。ボス=GERDI。(LASER+PHALANX)
・AREA 08:惑星上空。ボス=GERDI。(AUTO+V or LASER+PHALANX)
・AREA 09:宇宙空間。ボス=ROBAYON。(AUTO+LASER or AUTO+PHALANX or V+V)
・AREA 10:宇宙空間。ボスx4(LASER+PHALANX)
(DEMO)
・AREA 11:小惑星帯。ボス=GERDI。(PHALANX+PHALANX or V+V)[W]出現
・AREA 12:惑星上空。ボス=GERDI。(AUTO+AUTO)
・AREA 13:要塞内部。ボス=GLEYNIUS。(LASER+LASER)
・AREA 14:小惑星帯。ボス=ROBAYON。(PHALANX+PHALANX)[W]出現
・AREA 15:宇宙空間。ボス=ROBAYON。(AUTO+V)
(DEMO)
・AREA 16:惑星上空。ボス=GLEYNIUS (AUTO+V)
・AREA 17:小惑星帯。ボス=GERDI。(PHALANX+PHALANX)
・AREA 18:要塞内部。ボス=GLEYNIUS。(LASER+AUTO)
・AREA 19:宇宙空間。ボス=GERDI。(LASER+AUTO)
・AREA 20:宇宙空間。ボスx5+グロアール(LASER+LASER)

 

一番頼りになるのが、威力の強いLASER CANNON。次にPHALANXでしょうか。AUTOは惑星上空で役に立ちます。

 

AREA20のラスボス、グロアール。

敵のレーザーが大量に降り注ぐのですが、これの回避方法がわかりません。法則性がなく、ランダムに見えます。自分の場合、全て運任せでした。

 

第二形態。バリアーを破壊。

ガルザカートみたいなものが一定間隔で襲ってきます。これも運任せで回避。

 

第三形態は蛇行する弾と通常弾が大量に襲ってきます。忙しすぎてキャプチャできませんでした。

しばらく艦首を攻撃すると、グロアールの破壊に成功します。

 

エンディング。やり遂げた。

ゲームをプレイしていて、ここまでテンション上がったのは久しぶり。「Downwell」のハードモード以来か。

このゲーム、絵良し、音良し、戦略性高し。問答無用の名作ですね。ゲームアーツというソフトハウスを特別な存在に押し上げています。

 

それにしても難しすぎでは、、、。

すでにAREA 3でプレイヤーを切り捨てにかかります。この無人機の挙動が意地悪すぎです。アイテムが出ないのも理不尽すぎる。

書籍「蘇るPC-8801伝説(2006年)」の宮路武さんのインタビュー(ゲームアーツOBに直撃! 当時の秘話をお蔵出し! ゲームアーツ徹底研究)によると、難易度についてのコメントは以下の通り。

 バランスを調整している人間にやらせて、そこから3ランク下げるっていう方針にして。 それでも、まだあの難易度なんですよ。調整していた本人はブーたれてましたからね、こんなのぬるすぎるって(笑)

 

前回でも触れましたが、「シルフィード」は発売が遅れたゲームとして広く知られています。雑誌「ログイン」1985年9月号には「シルフィード」の広告に加えて、ゲームアーツの取材記事が掲載されています。記事によると、スタッフの平均年齢は21歳。「シルフィード」は8月末の完成を目指していると書かれてますが、雑誌自体が8月発売だと考えると、楽観的なスケジュールだった模様。

それから約1年後。「ログイン」1986年10月号には、土下座している宮路さんの写真が掲載されています。

 

前回、紹介し忘れていた「SCOPE ON(1983年)」というゲーム。作者は宮路武さん。「MSX Magazine永久保存版(2003年)」に収録されています。

 

背景と弾が混ざり合って、視認性が良くありません。メリハリがない。そして、難しいです。

当時の宮路さんは他にも「SX-2 ドイツアフリカ装甲軍団(1982年)」、AX-6収録の「スペース・エネミー(1982年)」、AX-7収録の「ザ・アステロディアン(1983年)」を開発していました。初期のシューティングゲームには、「シルフィード」らしさは感じません。この後、「面白いシューティングゲームとは?」と自問自答して、わずか約3年で答えに辿り着いてしまったわけですが、そこが天才だなと感じます。

 

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NECアベニューの話

マイコンソフトのPC-8801版「パックマン」ですが、過去にプログラムリストを雑誌に掲載したことがあります。掲載先は月刊「マイコン」1985年2月号。このPC-8801版「パックマン」を作ったのが、多部田俊雄さんでした。月刊「マイコン」はベーマガの兄貴的な雑誌です。

題名は「あなたもナムコゲーム・プログラムに挑戦 ゲーム作りのサブルーチン&(秘)テクニック大公開」。長いので「ナムコ特集」と呼ぶことにします。

目次は以下の通りです。

《I 基礎編》
PAC-MAN作成のためのツール&サブルーチン集(多部田俊雄さん)
PC-8801用キャラクタ作成ツール「CHIEmkII」

《II テクニック編》 マイコンソフトNAMCOオリジナル・ゲームシリーズ プログラムテクニック大公開!! 

・(1)X1/C/D/turbo ゼビウスアンドアジェネシスのスクロール法、(藤岡忠=なにわさん)

・(2)FM-7/77 RALLY-Xの追いかけルーチン(林俊彦さん)

・(3)MZ-1500 DigDugの岩おとし(米子MZマイコンクラブ迎霧狼慢=YMCATさん)

・(4)MZ-1500 MAPPYのトランポリンテクニック(米子MZマイコンクラブ迎霧狼慢=YMCATさん)

・(5)PC-8801/mkII PAC-MANのグラフィック・テクニック(多部田俊雄さん)

《III 活用編》
PC-8801/mkII 「PAC-MAN」 PROGRAM ARRANGED by 多部田俊雄

(ここにパックマンのプログラムリストを掲載)

、、、以上。

超豪華な執筆陣。なお、この「パックマン」ですが、コーヒーブレイクがなく、ステージが8面まで。製品版から機能を削ったという残念なオチが付いてました。

多部田さんは、月刊マイコンでスタープログラマ。アイドル的な、独自の地位を確立していました。

同じ1985年2月号では多部田さんがカラーで顔出しまでして、女子大生とパソコンで遊んでいるだけのページが載っています。

 

月刊「マイコン」1985年3月号より。

多部田さんが連載していた「メジャーなゲーム作家になるために」というエッセイです。独特のウケを狙った文体。ゲーム業界で成り上がる方法が書かれています。

多部田さんをモデルにした漫画「がんばれ!タベタ君」もこの時期に掲載されます。漫画を描いていたのは松田浩二さんです。

 

月刊「マイコン」1986年11月号より。

エレクトロニクスショー'86」でX68000が参考出展されたという歴史的な記事ですが、ここにも多部田さんが「タベタ君」として登場します。もう、完全にキャラクター化しています。

この後、多部田さんは1987年4月にNECホームエレクトロニクスに入社。さらに、NECアベニューへ異動します。NECアベニューはCDなどを手掛ける新会社(1987年10月創立)。ここで、ニューメディア事業を指揮します。

PC Engine FAN」1988年12月号の記事によると、NECアベニューは外部の5~6社の協力を得て、年間15本のゲームソフトを生産可能だと紹介されています。現実には達成できなかったわけですが、恐るべきチャレンジ精神です。

 

ベーマガ1989年1月号より。

PCエンジン版「スぺースハリアー」の広告。多部田さんと松田さんを確認できます。

 

PCエンジンmini(2020年)に収録されている海外版「スペースハリアー(1988年)」。

スタッフロールによると、プログラム担当は紅林俊彦さん。グラフィックは紅林さんと松島徹さん。SPECIAL THANKSとして、なにわさんと多部田さんのお名前がありました。最後に「DEMPA MICOM SOFT」と出ます。

 

先に紹介したナムコ特集にも、紅林俊彦さんのお名前があります(FM-7ラリーXの作者)。紅林さんは他にもPCエンジン版「アウトラン」を作られています。ちなみに「アウトラン」のディレクターは松田浩二さんです。

 

本題と関係ないですけど、このテストプレイヤーの「A.YAMASHITA」って、山下章さんでしょうか? 勘違いならすみません。

 

ベーマガ1989年3月号より。「感動 ほとんど そのまんま」。

タベタ君(としか思えない)がNECアベニューの広告に登場。月刊マイコン読者はさぞ驚いたはず。

 

ベーマガ1990年3月号より。

PCエンジン CD-ROM2用「スーパーダライアス(1990年)」の広告。この他、チャレンジ!PCエンジンのコーナーで1ページ紹介されました。

当時、PCエンジンはマルチメディア市場を独占。メガCDの登場より2年ほど先行していました。しかし、問題は値段。PCエンジンのCD-ROMドライブ類の価格は57000円オーバー。これに本体が加わると、8万円を超えてしまいます。これ買える人いるのか?と心配になるくらいのハードです。その専用ソフトとして「スーパーダライアス」が発売されたことは一つの事件でした。

CD-ROM2版が1990年3月に発売、Huカード版の「ダライアス プラス」が1990年9月に発売されました。非売品の「ダライアス アルファ」は超超プレミアソフトと化しています。

ダライアスを移植するという、あまりにも無謀なチャレンジ。ダライアスは背景を2枚重ねで表示する必要があり、PCエンジンはBG1枚しかありません。これは無理ってなりそうですが、手前の背景を全部スプライトにすることで、強引に解決しています。逆にボス戦は背景同士が重なっていないので、ラスタースクロールで済みます。

 

PCエンジンminiに収録されてる「スーパーダライアス」。

標準装備のゲームパッドはボタンが固いし、連射機能がないし、こんなの遊べないじゃないか思ったのですが、手が痛いのを我慢して連射したら、どうにかこうにかクリアできました。

スタッフロールに多部田俊雄さんと松田浩二さんの名前を発見。

プログラマは計4名で、うち一人はビッツラボラトリーの清水真佐志(MASAS)さん。清水さんは「ファンタジーゾーン」「スプラッシュレイク」、他多数のプログラムも手掛けられています。

 

山本直人さんのお名前も発見。「PC Engine FAN」つながりでしょうか。

PC Engine FAN」では1年以上に渡って、ダライアス関連の情報を熱心に載せ続けました。発売まで仕様や発売日が何度も変わりました。

 

ビッツラボラトリーが開発した「アフターバーナーII」。説明書の裏にスタッフ名が載っています。

 

ベーマガ1991年1月号より。

PCエンジン版「アウトラン」の広告内の「アナログスティックセット プレゼント」。「アウトラン」に付属するハガキを送ると、抽選で100名に「XE-1AJ」と変換器がもらえるという気前のいいキャンペーン。NECアベニュー製のアナログパッド(パワースティック)の発売が間に合わず、非常手段に打って出たという感じです。「サイバースティック/XE-1AJがPCエンジンに接続できる」ということは、この広告で知れ渡ったと思います。

広告に写っているのは、マイコンソフトの「XE-1AJ」。正確には「サイバースティック」ではありませんが、世間に伝わりやすいので、サイバースティック呼びで通したのでしょうか。変換器の仕様は「XHE-3」と同じだと思います。物凄いレアアイテムですが、果たして現存しているのでしょうか。

予定されていたNECアベニュー製アナログパッドの名前は「パワースティック」。「パワーコンソール(幻のSG用コントローラ)」とは別物です。自分は「アフターバーナーII」や「アウトラン」のアナログ対応は隠し機能だと思っていたのですが、まるっきり勘違いで、実際は発売前からアナログ対応であるとアナウンスされていました。

PC Engine FAN」1990年8月号によると、パワースティックはメガドライブ版と全く違った形状になると紹介されています。ここでいう「メガドライブ版」というのは、XE-1APのこと。この記事ではXE-1APを「世界一使いにくいアナログジョイスティック」と盛大にディスってます。

掲載した時点で、対応予定ソフトは「アフターバーナーII」「アウトラン」「オペレーションウルフ」「サンダーブレード(実際は非対応)」「ギャラクシーフォースII(未発売)」「フォゴットンワールド」でした。

PC Engine FAN」1990年9月号では、パワースティックの予想図を掲載。記事では「パソコン用として電波新聞社から発売されているアナログスティックと同等の機能を持つ」と紹介しています。

パワースティックの予想図を真似して描いてみました。「アウトラン」の発売から1年以上が過ぎて、マイコンソフトが変換アダプター「XHE-3」発売。これでXE-1APとサイバースティックをPCエンジンに接続して、アナログ対応ソフトを楽しめるようになりました。

まとめると、こんな感じです。

結局、パワースティックは発売されませんでした。発売中止の理由と、NECアベニューがシャープやマイコンソフトとどういう交渉をしていたのかが知りたいところです。

 

話は戻りますが、ベーマガでは1989年9月号から、NECアベニューの企業ページで「AVETUNE TIME/S」を連載しました。全14回。

・1989年9月号 NECアベニューの紹介(事業内容について)
・1989年10月号 PCエンジンのマルチメディア構想(漫画)
・1989年11月号 「サイドアームスペシャル」(漫画)
・1989年12月号 「ダライアス」(タイトルにスーパーが付いてない)
・1990年1月号 「サイドアームスペシャル」(攻略漫画)
・1990年2月号 「スーパーダライアス」(漫画)
・1990年3月号 「スーパーダライアスを100倍楽しむ法」(漫画)

(8回ほど休載)

・1990年12月号 「アベニューパッド3」(漫画)
・1991年1月号 「大旋風」「アウトラン」(4コマ漫画)
・1991年2月号 「クイズアベニュー」(漫画)
・1991年3月号 「ダウンロード2」(トップをねらえ!風漫画)
・1991年4月号 「ヘルファイヤーS」(漫画)。近日発売
・1991年5月号 「ヘルファイヤーS」(漫画)。4月号と同じ。発売日追加
・1991年6月号 「スプラッシュレイク」(イラスト)

連載第一回目はNECアベニューの会社内容の紹介でした。

NECアベニューのモットーは何と言っても忠実な移植。ゲームセンターそのまんまの感動をお伝えするためには、たとえプログラマー殺しと言われようと、ボツ魔神と言われようと断固妥協は許されない!

著者名が載ってないのですが、このウケ狙いの文体、多部田さんっぽいです。

 

ベーマガ1991年5月号より。

第二回目以降は松田浩二さんによるイラストや漫画を掲載していました。これには多部田さん(タベタ君)や松田さんや鈴木登美子さん(登美)が登場します。「がんばれ!タベタ君」のNECアベニュー版です。月刊マイコン読者なら喜んだと思います。

 

ベーマガ1991年6月号より。

PCエンジン CD-ROM2用ソフト「スプラッシュレイク」の紹介イラストです。この「スプラッシュレイク」の元ネタがこちら。

月刊「マイコン」1985年3月号より。

MSX用「Ostrich(オストリッチ)」。1984年の夏に松田さんが原案を出し、多部田さんが開発したゲームです。製作期間は半年とのこと。本誌にゲームのプログラムリストが掲載されました。発表から6年を経て、家庭用ゲーム機で復活したわけです。

AVETUNE TIME/Sは予告なしで突然終了しました。

終了に合わせ、「PC Engine FAN」では1991年7月号から多部田さんのコラムが連載開始。題名は「今だから言えるダライアス製作記」。連載は全9回、1992年4月号まで続きました(1992年1月号のみ休載)。この連載での興味深い情報は以下の通り。

・1987年11月(NECアベニュー創立の約1か月後)に「ワードナの森」移植計画がスタート。1988年1月にタイトーから移植の許諾を得る。1988年1月、某電子機器商社に「ワードナの森」の開発を依頼したが、翌月には商社側の技術力不足が露呈する。

・1988年6~9月にはイベントの展示用として三画面のダライアスを作れないか検討していた。三画面を連動させるコントローラーまで開発したが突如中止。

NECアベニューはブランド強化のため移植路線。クオリティ重視で、納期は度外視。

・アマチュア時代はハドソン製のFORM(FORTRAN)を使って開発した。

セガ以外のゲーム会社のツテがなく、手あたり次第に電話をかけまくった。関西の某社には電話をタライ回しにされて断られた。

・(1992年当時)開発中の「スーパーダライアスII」について、「年内発売! 多部田を信じて200日くれ!」と断言。結果、ムダに信用を落とす。

、、、本来はダライアスの開発の裏話を載せるコーナーのはずですが、脱線を繰り返し、ほとんど本題に触れずに終わってしまいました。

 

NECアベニューのソフトの中で、特に伝説的なのが「スペースファンタジーゾーン」です。「ファンタジーゾーン」のキャラを使い、「スペースハリアー」っぽい画面で遊ぶというオリジナル作品。ベーマガ1991年12月号には画面写真が1枚だけ掲載されています。ショップの女の子のグラフィックがいかにも松田さん調です(広告はうるし原さんですが)。記事には発売日が11月下旬とありましたが、発売されませんでした。「PC Engine FAN」1990年9月号によると、大物アニメータを起用して、人気声優がしゃべりまくるとのことなので、かなりオタクな方向性を感じます。

 

ベーマガ1989年10月号より。

マイコンソフトのX68000版「ファンタジーゾーン」(1989年7月25日発売)にはハリアー面という隠しステージが存在します。ハリアー面は背景とキャラクターがスペースハリアーに入れ代わった状態で遊ぶことができます。いわば「スペースハリアーの2D化」です。他にもX68000版には3Dメガネの立体視機能が搭載されていたり、遊び心があります。

NECアベニューマイコンソフトと近い関係にあり、スペースハリアーファンタジーゾーンも開発実績があります。それで、X68000版の逆の発想で「ファンタジーゾーンを3D化してみよう」という考えに辿り着いたのではないでしょうか。

以上が、❝「スペースファンタジーゾーン」はX68000版「ファンタジーゾーン」に触発されたんじゃないか?❞説です、、、勝手な推測ですが。

 

NECアベニューは、おそらくゲーム史上で最も生き急いだメーカーだったという気がします。関係者がマイコンソフト(電波新聞社)と深いところで繋がっていたという点が興味深いです。

電波新聞社P/ECE HANDBOOK Vol.2(2003年)」より。